2023年秋ドラマの主要25作品が登場します。今回は、ドラマ解説者の木村隆志が、主要な新作ドラマの初回放送を見て、「業界のしがらみを無視」したガチンコでおすすめ作品を探っていきます。
鈴木雅之監督の集大成を思わせる『ONE DAY』演出
主演25作品が揃った2023年秋ドラマ。今回、木村隆志さんが新作ドラマの初回放送を見て、「視聴率などのしがらみを無視」してオススメ作品を探ります。
写真：『トクメイ！警視庁特別会計係』出演の橋本環奈さんほか（全25枚）
別記事「2023年秋ドラマ25作：傾向&おすすめ5作を解説『VIVANT』直後で力作ぞろいも“変化球”に明暗」という記事では、2023年秋ドラマの主な傾向が「各ドラマ枠が“変化球”を選択」「ベテラン女優たちが面目躍如」と分析されています。
オススメドラマとして、『あたりのキッチン！』（東海テレビ・フジ 土曜23時40分）、『下剋上球児』（TBS 日曜21時）、『セクシー田中さん』（日テレ 日曜22時30分）、『時をかけるな、恋人たち』（カンテレ・フジ 火曜23時）、『いちばんすきな花』（フジ 木曜22時）の5作品を選びました。
この記事では、上記の作品を含む全作品のショートレビューと採点（3点満点）をご紹介します。
『ONE DAY～聖夜のから騒ぎ～』月曜21時～ フジ
出演者: 二宮和也さん、中谷美紀さん、大沢たかおさん他
寸評: トリプル主演＋1日を1クールで描くという試みは目を引きます。鈴木雅之監督の集大成を思わせる演出が楽しいです。ただ、問題は3つの物語がバラバラで統一感に欠けていることです。序盤は物語が進まず、大きな出来事や感情の動きも少なく、離脱者も生んでしまいました。今年の月9は夏は夏らしく、秋は秋らしい作風が貴重なので、3人の絡みを早く見せて欲しいです。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】
『トクメイ！警視庁特別会計係』月曜22時～ カンテレ・フジ
出演者: 橋本環奈さん、沢村一樹さん、佐藤二朗さん他
寸評: 刑事モノを「経費削減」という意外なアンビエンスから展開し、ヒロインに「最悪の凶運」を設定。その上で、旬の橋本さんをどう撮るかに徹した脚本・演出が徹底され、不思議な世界観の作品に仕上がっています。橋本さん、沢村さん、佐藤さんの絡みは安定感たっぷりで、まるで小劇場の舞台を観ているような楽しさがあります。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】
『ミワさんなりすます』月～木曜22時45分～ NHK総合
出演者: 松本穂香さん、恒松祐里さん、堤真一さん他
寸評: 「家政婦」「なりすまし」という設定が地味で、「サスペンスフル・コメディ」というほどの盛り上がりはありません。毎日見る1話15分の帯ドラマとしては苦しいです。偽物の「ミワ」と本物の「美羽」のシーンは魅力的ですが、もっと大きな展開や早めの「身バレ」などを期待しています。
採点:【脚本☆ 演出☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】
『けむたい姉とずるい妹』月曜23時6分～ テレ東
出演者: 栗山千明さん、馬場ふみかさん、柳俊太郎さん他
寸評: 険悪な姉妹が一つ屋根の下で恋人を奪い合う…典型的な女性向け漫画の実写化ですが、序盤から斜め上をゆくぶっ飛んだ脚色を仕掛けて驚かせたかったです。月曜23時台に救いのないシーンが多い作品は難しそうです。
採点:【脚本☆ 演出☆ キャスト☆ 期待度☆】
『家政夫のミタゾノ』火曜21時～ テレ朝
出演者: 松岡昌宏さん、伊野尾慧さん、桜田ひよりさん他
寸評: シーズン6で深夜からゴールデン枠に昇格し、パロディ作品の位置づけから脱却しました。ただ、やはり脚本は八津弘幸さんではなく、多数の脚本家が関わっているためにバラつきがあります。特にブラックやナンセンスの要素が足りず、もっと鋭く笑わせてほしいと思います。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】
『大奥 Season2』火曜22時～ NHK総合
出演者: 鈴木杏さん、玉置玲央さん、仲間由紀恵さん他
寸評: 1年で2シーズンの放送は見事です。さらにSeason1の主役・徳川吉宗の悲願であり、男女逆転を生んだ奇病の撲滅に向かう執念の物語は、まさに凄みを感じます。ただし、この作品の要は、視聴者の想像を超えるキャストの熱演です。悲劇や理不尽に打ちひしがれながらも戦い続ける姿に心を打たれます。幕末編では壮大なクライマックスが期待できそうです。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆☆】
記事のソースリンク: 日本ニュース24時間
