東日本を中心に甚大な被害をもたらした台風19号の上陸から、12日で1カ月を迎えた。71の河川、140カ所で堤防が決壊し、治水の重要性を浮き彫りにした。一方、旧民主党政権で国土交通相を務め、群馬県の「八ツ場ダム」建設凍結を決めた国民民主党の前原誠司衆院議員や、「スーパー堤防」に異論を唱えた立憲民主党の蓮舫副代表と共産党の吉良佳子参院議員は批判も浴びた。各氏は現在、どう考えているのか。
建設中止を公約に
「間に合ってよかった」「ヒーローだ」。八ツ場ダムをめぐっては、インターネット上でこうした賛辞が相次いだ。
八ツ場ダムは今年6月にほぼ完成し、10月1日に「試験湛水(たんすい)」を開始した。3~4カ月かけて満水とする予定だったが、台風19号に伴う雨水約7500万立方メートルが流れ込み、ほぼ満水になった。赤羽一嘉国交相は「(下流の)利根川の危機的な状況を救った」と評価した。
下流域での増水量から、八ツ場ダムの治水効果を限定的だとみる意見もあるが、「間に合った」との感想が相次ぐのは、旧民主党政権のいきさつを踏まえたものだ。旧民主党は平成21年の衆院選で、公約の最重要政策の一つに八ツ場ダム建設中止を掲げて政権交代を果たし、鳩山由紀夫政権が誕生した。当時の前原国交相は中止を宣言したが、23年に野田佳彦政権が撤回した。