「退職の話をなかなか切り出せない。けれど、退職代行を使えばすぐに会社を辞められる……」しかし、その代償はご存じですか?
自己都合退職とみなされることで、退職金の減額や失業手当受給の遅れなど、リスクもあります。本記事では、損をしないために、退職する前に知っておきたい知識を紹介します。
退職代行を利用すると「自己都合退職」扱いになる?
退職代行サービスを利用して会社を辞めた場合、原則として「自己都合退職」として扱われます。これは、退職の意思表示が本人から発せられたものであり、会社側の都合による退職ではないためです。
ただし、退職の背景にパワハラや長時間労働など、会社側に問題があると考えられる場合は、「会社都合退職」として認定される可能性もあります。そのため、退職理由に関する証拠や記録を残しておくことが重要です。
退職代行を利用する際は、退職理由がどのように扱われるかを事前に確認し、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。
退職前に要チェック! 自己都合退職は退職金が減る可能性も
自己都合退職の場合、退職金が減額されることがあります。これは、企業の就業規則や退職金規程などに基づいており、法的には問題ありません。
一般的に、自己都合退職では会社都合退職よりも退職金の支給率が低く設定されています。例えば、勤続年数が短い場合、自己都合退職では退職金が支給されない、または大幅に減額されることがあります。
退職金の支給条件や減額率は企業ごとに異なるため、退職前に就業規則や退職金規程を確認しておきましょう。
2025年4月から自己都合退職の失業給付に関するルールが変わります!
自己都合退職の場合、失業手当(雇用保険の基本手当)の受給には一定の制限がありますが、制度改正により給付制限期間が改善されました。変更内容は次のとおりです。
・改正前(離職日が2025年3月31日以前):7日間の待機期間+2ヶ月の給付制限期間
・改正後(離職日が2025年4月1日以降):7日間の待機期間+1ヶ月の給付制限期間
これにより、正当な理由のない自己都合退職者でも早期に失業手当を受給できるようになりました。さらに厚生労働省によると、以下の条件を満たす場合、給付制限期間が解除され、7日間の待機期間終了後に失業手当を受給できます。
・離職日前1年以内に、厚生労働省が指定する教育訓練等(2025年4月1日以降に受講を開始したものに限る)を受講していた場合
・離職日以後に、上記と同様の教育訓練等を受講する場合
ただし、退職日からさかのぼって5年以内に2回以上正当な理由なく自己都合退職をし、受給資格決定を受けている場合、給付制限期間が3ヶ月となるため注意しましょう。
失業手当の受給条件や手続きについては、ハローワークでの確認が必要です。退職前に、必要な書類や手続きについて把握しておくことをおすすめします。
まとめ
退職金については、自己都合による減額の有無を就業規則などで事前に確認しておくことが大切です。失業手当は自己都合による退職の場合、給付までに制限期間があるため、生活資金の準備が必要になります。
また、退職代行サービスを利用して会社を辞めた場合、退職理由は原則として「自己都合」扱いになりますが、会社側に問題があれば「会社都合」と認定される可能性もあります。必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。
出典
厚生労働省 令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部