「しつこい電話があって、出たら警察が『家から出て、避難してください!』と。びっくりしましたよ」──5月20日午前中、千葉・船橋市で立てこもり事件が発生した。現場から半径150mほどにわたり規制線が貼られ、近隣住民らは避難を余儀なくされた。
事件が起きたのは東武野田線・馬込沢駅から徒歩15分ほど離れた、のどかな住宅街。警察に緊迫した通報があったのは、同日朝6時40分過ぎのことだった。全国紙記者が語る。
「アパートの部屋で『男が包丁を持って立てこもっている』と通報がありました。立てこもっていたのは、この部屋に住む30代の男。刃物のようなものを持って、母親と妹を監禁していました。現場に急行した警察に対して、『立ち去らないと殺す』などと話したということです。通報から約7時間後、男は『降参します』と扉を開け、身柄を確保されました」
千葉県警は100人態勢で対応にあたり、周辺には張り詰めた空気が漂っていた。男が立てこもったアパートに住む男性が語る。
「昨夜は寝ていなくて、今朝8時くらいに寝たんです。正午前、寝たばかりなのにしつこい電話がかかってきたのでうるさいなと思って出たら警察で。なんかあったのかなと思ったらいきなり、『家から出て、避難してください!』と言われてこのコンビニまで逃げてきました。
通報があったという7時前はまだ起きていたんですけど、怒鳴り声が聞こえたり、大きな物音がしたりはなかった。だからまさか立てこもりがあったなんて思いませんでしたよ」
近隣住民の証言「痩せ型で、黒髪を伸ばした男の人」
被疑者とみられる男が住んでいるのは、2階建ての木造アパート。総戸数は7部屋で、そのほとんどが単身者向けの小さめの賃貸物件だ。
「あそこはもともと、運送会社の持ち物なんです。一人暮らしの人がほとんどですが、あのご家族が住む101号室は間取りが広めで、家賃も高い。前にそこに住まれていた方は、その運送会社に関係ある人だったんですが、その人たちもご家族で暮らしていましたから、結構広いはずです。
年配のお母さんと、(立てこもり犯より)少し年下の妹さんらしき人はお見かけしたことがあります。普段は物音も出さないような静かな家族で、特にトラブルなんかもありませんでしたね。引っ越してきたのは3〜4年くらい前だと記憶しています。
家庭内でなんかトラブルがあったってことでしょうけど、いい迷惑ですよ」
別の近隣住民は立てこもり犯と思われる人物を何度か見かけていたという。