福岡の伝統校で「威圧的な校歌指導」、わずか8カ月で中退…文筆家の西田藍さんが語る高校時代の恐怖


【動画】あのエリート校で実施される「恐怖の校歌指導」

●喉がおかしくなるくらい声を出すよう歌わされた

そう語る西田さんの出身校は、福岡県立福岡中央高校。明治時代に高等女学校として設置された伝統校(現在は共学)で、ホームページには「文化の香り高い校風、品格に富む生徒の育成」などの言葉が掲げられている。通称は「福中」あるいは「中央」。

1991年生まれの西田さんによると、入学後、新入生に部活動などを紹介するレクリエーションのあとに威圧的な校歌指導があったという。

「校歌指導のことは知らなかったです。ほかの学校もそうですが、表に出ることがないからだと思います。『この学校に入ったのは失敗だ』と思いました。楽しさよりも、規律を叩き込まれたためです。恐怖でいっぱいでした。

ただ、福岡市の公立中学出身だったので、腰に手を当てて大声で校歌を歌うこと自体はさせられたことがありました。ほかの学校は知らないですが、公立なので、独自ではないと思います」

西田さんたち新入生たちは、時間割に沿って体育館に集まった。生徒会のメンバーから「みなさん、やってみましょう」と言われて歌いはじめるが、声が潰れるまで延々と歌わされた。

「最初は普通に歌っていました。でも、それだとダメなんです。喉がおかしくなるくらい、怒鳴るように声を出して、顔を真っ赤にするまで歌うことが正しいとされました。生徒会のメンバーが何人いたのかは覚えていません」

現在も男子校である浦和高校などでは応援団が校歌指導するが、福岡中央高校はもともと女学校で、女子生徒が多かったこともあり、応援団がなかったため、校歌指導は生徒会が担っていた。

「うちの場合は、校歌だけで、応援歌の指導はありませんでした。お腹に手を当てて、体を反らして歌ったりしました。歌う時のリズムも大切にされていました。

『もっと声を出せや』など、威圧的な言葉が中心だったので、報道にもある他校の校歌指導よりも暴力的ではなかったように思います。ただ、体育館がピリついていて、張り詰めた緊張感が恐怖を強めていたように思います。

『伝統だからやる』と言われましたが、何の目的でやるのかはまったく教えてもらえなかったんです。たしかに伝統校ではあるんですが、トップ校ではなかったので、愛校心を高めようとする雰囲気に新入生たちはみんな戸惑っていた印象です」



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