上月豊久前駐ロシア大使は5日、オンライン記者会見で、ウクライナ侵攻を続けるロシアが、中長期的に労働力不足などの国内問題に直面するとの認識を示した。
長期化する侵攻が「孤立と衰退への道になり得る」と語った。
上月氏は、ロシア経済が当面、軍需主導で高い成長を続けると予想。一方、戦争の長期化で兵士動員に伴う労働力減少やインフラ投資不足が、経済状況の悪化をもたらす可能性があると述べた。
ロシアの対外関係を巡っては、ラブロフ外相が2022年2月の侵攻開始から23年11月までに外国関係者と行った366回の会談のうち「西側諸国とはわずか20回だった」と指摘。グローバルサウス(新興・途上国)を重視する外交姿勢が鮮明になったと分析した。
プーチン大統領が先月、故安倍晋三元首相夫人の昭恵さんをクレムリン(大統領府)に招いたことについては「日ロ関係に与える影響は最小限。大騒ぎする必要はない」と説明。「日本側に義理堅い人物だと思わせる意図があったのではないか」との見方を示した。