フジテレビ、港前社長と大多元専務を提訴へ 突然の発表、背景に社内波紋と株主総会

フジテレビは6月5日、港浩一前社長と大多亮元専務に対し、提訴する方針を固めたと発表した。なぜこのタイミングで発表されたのか、その背景と狙いについて、元テレビ朝日法務部長の西脇亨輔氏が解説する。この突然の動きは、関係者の間や社内に大きな波紋を広げている。

社内に広がる「寝耳に水」の衝撃

突然の発表を受けた社内の様子はどうだったのか。ほとんどの社員にとって、この提訴の件はまさに「寝耳に水」だったという。発表前日には、中居正広氏の問題に関与した幹部たちの処分がいよいよ発表されるとの話が出回り、社員たちは皆身構えていたという。あるベテラン社員は「処分は1〜2週間前に発表されるはずだったのですが、中居氏が反論に出たことが影響して延期になっていると言われていました」と語る。

ところが蓋を開けてみたら、処分の話題が吹き飛ぶような提訴の話が発表されたわけである。「役員や法務、報道などごく一部の関係者以外、提訴の件についてはウチが午後5時30分に流したニュースで初めて知ったはず。もちろん港さんらの責任を問う声は大きかったですが、実際、この間まで社長をやっていた人を会社が訴えるとなると衝撃が走りました。2人ともバラエティやドラマでフジテレビの黄金期を支えた、フジを象徴する人物でもありますし。そもそも、こんな展開はウワサにすら上ったことはなかったのです」と、この社員は驚きを隠さない。

フジテレビが提訴方針を発表した港浩一前社長と大多亮元専務の写真フジテレビが提訴方針を発表した港浩一前社長と大多亮元専務の写真

元編成部長の「甘い」処分と提訴の関連性

提訴方針と合わせて発表された元編成部長A氏の処分内容は、4段階の降職と1カ月間の懲戒休職処分だったが、これに対しても社内からは疑問の声が上がっている。「なんで解雇じゃないんだ、という声が社内では大きい。4階級の降職だと主任クラスになりますが、年収1300万円くらいは貰えますし、甘いんじゃないかと」との批判がある。

今回の港氏らに対する提訴発表のタイミングについては、様々な憶測が飛び交っている。最も有力視されているのが、迫る株主総会を見据えての動きだという見方だ。「タイミングを考えると、港さん提訴は株主総会を見据えての動きなのでしょうが、Aさんへの甘い処分内容を薄める効果を狙ったのでは」という声もある。

専門家が見る「株主へのメッセージ」

元テレビ朝日法務部長の西脇亨輔氏も今回の港氏ら提訴に向けた動きは、「株主総会に向けてのメッセージ」とみる。「まさに今は株主総会の招待通知が出され、水面下で票集めが進行しているタイミングです。株主に向けて、現経営陣が前経営陣の経営責任を追及している姿勢をアピールしたかったのでしょう」と述べている。

まとめ

フジテレビが港浩一前社長と大多亮元専務という象徴的な存在であった元役員を提訴する方針を発表した背景には、中居正広氏関連の問題や、同時発表された元編成部長への処分に対する社内の不満、そして株主総会を意識した経営判断があると考えられる。突如として明らかになった異例の法的措置は、今後のフジテレビの組織運営や経営責任のあり方に一石を投じるものとして、その行方が注目される。

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