中国、ロシア一部領土を併合する可能性も? 戦争情報も収集…背景には中国の「実践不足」か


【画像】中国がロシアの軍事機密情報を集める狙いとは?

■中国が領土を「不当に奪おうとしている」と懸念

 7日、 「ニューヨーク・タイムズ」はFSB(ロシア連邦保安庁)の内部文書を入手したと報じている。そこには、ロシアが中国を警戒している様子が事細かく記されており、2023年末から2024年初頭に書かれたものである可能性があるという。

 この文章を作成したとみられるFSB(ロシア連邦保安庁)は、旧ソ連の情報・治安機関KGB(国家保安委員会)の後継組織で、国家の安全保障のために通信傍受や犯罪対策などを担う諜報機関。

 この内部文書は、国際的に活動するサイバー犯罪集団「アレス・リークス」が入手したもの。「ニューヨーク・タイムズ」によると、西側諸国の6つの情報機関とこの文書を共有したところ、いずれも「本物」と評価されたという。

 では、具体的にどのようなことが書かれているのだろうか。

 文書では「中国がウラジオストクを含む極東地域のロシア領土を併合する可能性」があるとしていて、プーチン大統領は表向きは中国の習近平国家主席との友好関係を強調しているものの、内心では中国がロシアの領土を「不当に奪おうとしている」と懸念しているという。

 実は、極東地域の領土はもともと中国の領土だったという歴史がある。

 極東の要衝とされるウラジオストクの周辺は、かつて清(現在の中国)の領土だったが、1858年のアイグン条約、1860年の北京条約によってロシアに割譲された。

 この地域はアヘン戦争などで弱体化していた清からロシア帝国が獲得したもので、ロシア語で「極東を制圧せよ」を意味する「ウラジオストク」と命名され、軍港として街がつくられた。

 ロシアに割譲された領土の奪還を中国が虎視眈々(こしたんたん)と狙っているという見方もある。

 「ニューヨーク・タイムズ」によると、FSBの内部文書は中国が極東ロシアについて、この地域に残る「古代中国民族」の痕跡を調査してきたと指摘している。

 アメリカの「ニューズウィーク」は、2023年に中国の自然資源省がウラジオストクを含むロシアの8つの都市について、地図上の表記を中国名に改めるよう義務付けたと報じている。

 さらに、元時事通信社モスクワ支局長で、ソ連崩壊を現地で取材した拓殖大学・客員教授の名越健郎氏によると、「今、ロシアはさまざまな地域や産業で人手不足が深刻となっており、極東ロシアの農地には中国人が合法的に入り込み、農業を営んでいる」といい、極東地域で中国の影響力を強める動きが見られるという。

 こうした中国の動きをロシアは警戒していて、独立系メディア「インサイダーT」によると、SVR(ロシア対外情報庁)はウクライナとの戦争が拡大した場合、中国はロシアの領土を占領するとみているという。

 中国がロシアに「協力してほしければ領土を返還しろ」と迫る可能性もあり、中露の協力は一時的なものになる可能性があると情報筋は語っている。 



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