中東情勢緊迫化:相撲の夢追う日本在住イスラエル人の胸中

イスラエルとイラン間の緊張がエスカレートし、中東情勢はかつてないほど緊迫の度を増しています。イスラエルによるイランへの先制攻撃から1週間が経過し、ミサイルによる応酬が続く中、遠く離れた日本で複雑な心境を抱えて日々を送るイスラエル人男性がいます。27歳のヤルデン・ヤトコブスキーさんです。相撲の力士になるという長年の夢を追い、日本に暮らすヤルデンさんは、故郷に残る家族や友人たちの安全を案じ、「危険な状態なので、すごく心配している」と語ります。この軍事的な緊張の高まりは、地域全体の安定を揺るがしており、国際社会は事態のさらなる悪化を強く懸念しており、緊張緩和に向けた外交努力も模索されています。

エスカレートする中東情勢:続く攻撃の応酬

イスラエルに向け、イラン革命防衛隊からミサイルが発射されるなど、中東地域では一触即発の状態が続いています。イスラエルによるイランへの先制攻撃からすでに1週間が経過しており、双方が激しい攻撃の応酬を繰り返しています。ミサイル攻撃は無差別に行われる可能性があるため、市民生活への影響も深刻です。特に、人口密集地であるテルアビブ近郊に住む家族にとって、日々の不安は計り知れません。

イラン革命防衛隊がイスラエルに向けミサイルを発射する様子イラン革命防衛隊がイスラエルに向けミサイルを発射する様子

日本で相撲の夢を追うイスラエル人、故郷への深い懸念

相撲部屋での体験入門などを通じ、横綱・豊昇龍関などがいる立浪部屋で自主的な稽古を続けるヤルデンさん。彼の心には、故郷イスラエル、特にテルアビブ近郊に住む両親や家族、友人たちへの深い心配があります。毎日のように家族の近くにミサイルが飛来しているといい、さらにヤルデンさんは「同級生の家にミサイルが落ちてきたと聞いて、いつもより心配になっています」と、具体的な被害の報告に胸を痛めている様子を語りました。

相撲力士への揺るがぬ夢:来日までの道のりと壁

3年前にFNNがヤルデンさんをテルアビブ近郊の自宅で取材した際、彼はすでに独学で日本語を習得し、自作のちゃんこ鍋で体作りに励むなど、力士になる夢を強く追いかけていました。独学での日本語学習や、力士に求められる体作りへの取り組みは、彼の夢への真剣さを示しています。しかし、イスラエル国民としての兵役義務や、世界的に移動を制限した新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受け、なかなか日本へ来ることができませんでした。その間に新弟子検査を受けられる年齢制限を超えてしまい、プロ力士への道には大きな壁が立ちはだかりました。特に、相撲界の新弟子検査には厳しい年齢制限が設けられているため、時間との戦いでもありました。

夢を叶えるための挑戦:特例入門への署名活動

年齢制限という困難に直面しながらも、ヤルデンさんは力士になるという夢を諦めていません。彼は特例での入門を認めてもらうため、オンライン上で署名活動を立ち上げました。この署名活動は、単なるオンラインでの呼びかけに留まらず、彼の情熱と諦めない姿勢への共感を示すものです。すでに1万人以上の署名が集まっているといい、多くの人々が彼の夢の実現を応援しています。「お相撲さんになりたくて、家族もずっと小さいころから応援してもらっているので、成功するところを見せたいと思います」と、ヤルデンさんは再び強い決意を語っています。

相撲力士になる夢を追い、日本で稽古に励むヤルデン・ヤトコブスキーさん相撲力士になる夢を追い、日本で稽古に励むヤルデン・ヤトコブスキーさん

緊迫が続く中東情勢は、遠く離れた日本で暮らす人々の生活にも影を落としています。ヤルデンさんのように、故郷の家族を案じながらも、日本で長年の夢を追い続ける人々の存在は、こうした国際的な出来事が個々の人生に深く関わっていることを改めて示しています。特例入門への道は決して平坦ではありませんが、彼の粘り強い挑戦と、それを応援する声が、困難な状況を乗り越える一筋の光となることを願わずにはいられません。

参照元

FNNプライムオンライン