岐阜県美濃市は、約2年間にわたり公文書の不適正な取り扱いが1000件以上にのぼったとして、民生部に所属していた20代の女性主事を停職2か月の懲戒処分にしたことを発表しました。この事案では、書類の放置や紛失、事務処理の遅延など、多岐にわたる問題が発生し、一部には金銭的な損害も生じています。
不適正な取り扱いの詳細と影響
懲戒処分を受けた女性主事は、2022年4月から2024年3月までの約2年間、合計1048件に及ぶ公文書の取り扱いに関する不備があったとされています。主な内容としては、書類の放置が151件、個人情報を含む書類の紛失が3件(後日発見)、公印(市長印)の無断使用が859件、必要な審査を経ずに手当を支給した事案が28件などです。
これらの不適正な取り扱いにより、約28万円あまりの金銭的損害が発生しています。これには、過払金4件(計13万9646円)、支払遅延1件(14万7440円)、障害認定の遅延による支払不能分2件(金額未確定)が含まれます。支払遅延分1件はすでに支払い済み、過払分1件(11万5360円)は返還済みとのことです。
事案の発覚と職員の弁明
この問題は、2024年4月に女性主事が別の部署へ異動した後、後任の職員が机の引き出しに放置された大量の書類を発見したことから明らかになりました。
美濃市職員が机の引き出しに放置した公文書、約1000件の不適正処理が発覚また、女性主事には公文書の取り扱い以外にも、上司の指示を無視したり、勤務中に居眠りをしたりするなど、勤務態度にも問題があったとされています。市の聞き取りに対し、女性主事は「わからない業務について調べることや確認することが苦手で後回しにしてしまった」と弁明しているとのことです。
市の対応と再発防止
美濃市は今回の事態を重く受け止め、女性主事を停職2か月の懲戒処分としました。さらに、責任を明確にするため、市長と副市長の7月分の給料を10%カットする条例案を市議会に提出するなど、組織としての対応も進めています。
今回の事案は、公務における適切な事務処理と管理の重要性を改めて浮き彫りにしました。美濃市は今後、再発防止に向けた対策を講じる方針です。
1048件の公文書「不適正な取り扱い」の内訳
美濃市が発表した不適正な取り扱い1048件の具体的な内訳は以下の通りです。
- 書類の放置: 151件
- 療育手帳関連: 16件
- 児童通所支援関連: 5件
- 精神保健福祉手帳関連: 72件
- 障害児福祉手当関連: 8件
- 特別児童扶養手当関連: 2件
- 特別障害者手当関連: 21件
- 福祉医療関連: 27件
- 個人情報が記載された書類の紛失: 3件 (33名分)
- ※後日発見済み
- 公印(市長印) の無断使用: 859件
- 必要な審査手続を経ることなく支給した手当: 28件
- 障害児福祉手当関連: 8件
- 特別障害者手当関連: 20件
- 事務処理を怠ったことによる金銭的損害: 7件 (計287,086円)
- 過払分: 4件 (139,646円)
- 支払遅延分: 1件 (147,440円)
- 支払不能分(障害認定遅延による): 2件 (金額未確定)
- ※支払遅延分1件(147,440円)は支払い済み。過払分1件(115,360円)は返還済み。