天皇、皇后両陛下は、令和7年(2025年)6月19日から20日にかけて、即位後初めて広島県を訪問されました。これは戦後80年の節目にあたる「慰霊の旅」の一環で、戦没者の霊を慰め、平和への願いを示すものです。硫黄島、沖縄に続く訪問地でした。
戦後80年『慰霊の旅』：広島訪問の背景
広島は、昭和20年(1945年)8月6日の原爆投下により、同年末までに約14万人が犠牲になったとされる地です。想像を絶する悲劇であり、放射線による後遺症は多くの人々を長年苦しめました。両陛下はこの地を、戦後80年の慰霊の旅として訪問。旅では既に、硫黄島(4月7日)や、敬宮愛子内親王殿下も同行された沖縄県(6月4・5日)を訪問されています。
広島平和記念公園にある原爆犠牲者慰霊碑 – 平和への祈りの象徴
天皇陛下の広島との深い繋がり
天皇陛下は、皇太子時代の浩宮殿下としてのお出ましを含め、今回で11回目の広島訪問となります。最初の訪問は昭和56年(1981年)の学生時代でした。皇太子として初めて訪問されたのは平成4年(1992年)で、この際には広島赤十字原爆病院をご慰問されています。ご成婚翌年の平成6年(1994年)には、両陛下おそろいでお出ましになりました。この時は広島アジア大会へのご臨席が主目的でしたが、まず爆心地に近い平和記念公園や原爆養護ホームを訪問されました。両陛下おそろいでの広島ご訪問は、敬宮殿下がお生まれになる前年の平成12年(2000年)が最後でした。陛下単独での最も近いお出ましは平成18年(2006年)です。
即位後初の訪問と皇室の祈り
今回の広島ご訪問は、即位後初めてとなります。両陛下は改めて被爆地の悲劇に心を寄せ、平和への強い祈りを捧げられました。皇室研究家の高森明勅氏は、皇室が昭和天皇以来受け継ぐ平和への願いは、敬宮殿下ただお一人に直接受け継がれていると指摘。敬宮殿下はこの度同行されませんでしたが、皇室の平和継承の重要性が改めて示されました。
天皇皇后両陛下による即位後初の広島訪問は、戦後80年「慰霊の旅」の中でも特に重要です。被爆地に寄り添い、平和への祈りを捧げる皇室の姿勢は共感を呼びます。両陛下の旅は今後も続き、皇室が担う平和継承の役割に注目が集まります。
参考文献:
