石破内閣支持率、6月調査で上昇傾向に転換 米価対策への評価が後押し

国内の主要な報道機関8社が実施した6月の世論調査結果が出揃い、石破茂内閣の支持率が前月までの下落傾向から一転して上昇に転じました。調査を実施した8社のうち7社で支持率が上昇し、6社で3割台となりました。この支持率上昇の背景には、複数の調査で随意契約による備蓄米の放出を機にコメの価格が下落に転じたことへの評価が目立ったことが挙げられます。

各社調査に見る支持率詳細と不支持率の状況

8社の調査結果を見ると、内閣支持率が最も高かったのはNHKの39%で、前月比6ポイントの増加でした。一方、最も低かったのは毎日新聞の24%で、こちらは前月比2ポイントの増加でした。最も大きな変動が見られたのは共同通信で、前月比9.6ポイント増の37%となりました。

5月の調査では、8社のうち5社で支持率が下落し、政権発足以来最低となった調査も5社に上りました。しかし、6月の調査で支持率が下落したのは朝日新聞(32%、1ポイント減)のみでした。

不支持率に関しては、最も高かったのが毎日新聞の61%(前月比1ポイント減)で、最も低かったのはNHKの42%(前月比6ポイント減)でした。すべての調査で、前月に引き続き不支持率が支持率を上回る状況が続いています。

共同通信は通常国会閉幕に合わせ、6月21日と22日に緊急調査を実施しました。この調査での支持率は、1週間前の14日と15日に実施された調査と比較して4.5ポイント下落し、32.5%でした。

主要報道機関が実施した世論調査に基づく内閣支持率の比較表(2024年6月)主要報道機関が実施した世論調査に基づく内閣支持率の比較表(2024年6月)

時事通信調査に見る支持率回復の要因

時事通信の調査では、石破内閣の支持率が4カ月ぶりに持ち直しました。その上昇幅は、昨年10月の政権発足時を除くと最大の6.1ポイントでした。時事通信がコメの価格高騰対策、特に小泉進次郎農相による備蓄米放出について尋ねた質問では、「評価する」と回答した人が63.8%を占めました。この備蓄米放出などの対策もあり、コメの価格は6月下旬までに5週連続で値下がりし、石破首相が目標に掲げていた「5キロあたり3000円台」を達成しました。

石破内閣の発足以降の支持率の推移を示すグラフ石破内閣の発足以降の支持率の推移を示すグラフ

関連する政治イベントと今後の展望

石破首相は6月15日から18日にかけて、先進7カ国首脳会議(G7サミット)に出席するためカナダを訪問しました。G7サミットではトランプ米大統領との会談も行われましたが、焦点となっていた関税協議については合意に至りませんでした。

今後、国内政治の大きな焦点となるのは参議院選挙です。参院選は7月3日に公示され、20日に投開票が行われます。参議院選挙の前哨戦と位置付けられた6月22日投開票の東京都議会議員選挙では、自由民主党が議席を減らした一方、国民民主党と参政党が初めて議席を獲得するなど、各党の勢力図に変化が見られました。

G7サミットに出席し、討議に臨む石破茂首相(左から4人目)と各国首脳ら(2024年6月17日、カナダ)G7サミットに出席し、討議に臨む石破茂首相(左から4人目)と各国首脳ら(2024年6月17日、カナダ)

総じて、6月の世論調査では石破内閣の支持率に持ち直しの兆候が見られましたが、不支持率が支持率を上回る状況は継続しており、依然として厳しい情勢にあります。コメ価格対策への評価が支持率上昇の要因の一つとして示唆されていますが、今後の政権運営、特に目前に迫った参議院選挙の結果が内閣への評価を大きく左右することになるでしょう。