ドリフト車のイメージを一変させる驚異的なカスタムが登場しました。日産S14シルビアをベースに、映画「ワイルド・スピード」を彷彿とさせるキャッチーなリフトアップスタイルを実現した異色のマシンです。アゲ系オフロードショップ「トップランカー」と「ロケットバニー」のコラボレーションにより生まれたこの一台は、まさに常識破りの存在感を放っています。
リフトアップされ、ロケットバニーキットを装着したS14シルビアのフロントビュー。大型タイヤと外付けインタークーラーが特徴。
映画から着想を得た大胆な発想
製作の出発点は、旧知の仲であるロケットバニー製のボディキットに注目したことから始まります。特に、純正の顔面を大胆に変更し、オールドマッスルカーのような雰囲気を生み出すこのキットは、今回のプロジェクトに不可欠でした。そこに、映画「ワイルド・スピード スカイミッション」に登場するチャージャーやカマロのリフトアップシーンのイメージを重ね合わせることで、「ドリ車をリフトアップする」というクレイジーなアイデアが具体化しました。トップランカーは、このノリと勢いを大切に、ビジュアルインパクトを最優先に開発を進めました。
異種アゲ戦法による物理的な実現
リフトアップを実現するため、フロントには特製のストラットが採用されました。リアはコイルオーバーにボディとフレームの間にスペーサーをカマす方法で車高を確保しています。足元には、オフロードトラック業界で高い支持を得るメソッド製16インチホイールを装着。このホイールに収まる255/65サイズの大径オフロードタイヤを履かせるため、ホイールアーチ部はもちろん、インナーやフロアの一部を大胆にカットしています。これにより、強靭でタフなスタンスを獲得しました。
ワイルドさを強調するエクステリア
フロントバンパーには、ワンオフ製作された武骨なバンパーガードが取り付けられ、その中に外付けのインタークーラーが収まっています。これがマシンのスパルタンな印象を一層引き立てます。リアに目を移すと、まるでデザートバギーのように、トランクスペースを犠牲にしてスペアタイヤが2本背負われています。この仕様のため、タイヤもホイールも合計6本購入されており、遊びの領域を超えた本気度がうかがえます。
ドリフトベースならではのポテンシャル
このシルビアは、元々ガチなドリフト車両であったため、室内に張り巡らされたロールケージやタワーバーはそのまま活かされています。SRターボエンジンを搭載しており、走行性能も折り紙つきです。この「ロケットバギー」と名付けられたマシンは、オフロードやダートコースに持ち込めば、その隠されたポテンシャルを存分に発揮する可能性があります。そのブッ飛びっぷりから、見かけた際にはあまり接近しない方が良いかもしれません。
ドリフトの固定観念を打ち破るリフトアップS14シルビアは、映画からインスパイアされたロマンと、それを物理的に実現する技術が融合した唯一無二の存在です。ロケットバニーのキットとトップランカーの大胆な発想により生まれたこのマシンは、カスタムカーの世界に新たな可能性を示唆しています。そのワイルドでクレイジーなスタイルは、見る者すべてに強烈なインパクトを与えるでしょう。
出典: 『カスタムCAR』2015年10月号 他 (一部加筆)