「温泉ないまんじゅう」話題に – 滋賀と群馬、同じ「草津」地名で混乱の実態

滋賀県草津市観光物産協会が企画・発売した「温泉ないまんじゅう」が話題を呼んでいます。滋賀県草津市は人口約14万人を擁し、県庁所在地の大津市に次ぐ規模の都市ですが、一般的な知名度では、日本有数の温泉地である群馬県の草津町のほうが一般的に高いと言えます。この「草津」という同じ地名が、時に混乱を招いているのです。

滋賀と群馬、「草津」を巡る混乱

[「温泉ないまんじゅう」話題に - 滋賀と群馬、同じ「草津」地名で混乱の実態滋賀県草津市が企画・発売した「温泉ないまんじゅう」のパッケージ写真]

有名な草津温泉があると思って滋賀県草津市を訪れてしまう旅行者が少なくないといいます。残念ながら、滋賀県草津市には群馬県の草津町のような大規模な温泉郷は存在しません。そこで生まれたのが、一見すると温泉まんじゅうでありながら「温泉ない」と銘打たれた、自虐的でユニークな商品である「温泉ないまんじゅう」です。これは、まさに地名の混乱を逆手に取った企画と言えるでしょう。

地名・駅名の誤解は各地で発生

草津市と草津町のように、地名の漢字表記が全く同じ、あるいは非常に似ているために目的地を間違えてしまうトラブルは、実は各地で頻繁に発生しています。特に鉄道利用者は、似た名前の駅が多く、誤りが起こりやすい傾向にあります。近年では、スマートフォンの乗り換え案内アプリなどに機械的に頼りすぎることで、こうした間違いがより発生しやすくなったとも指摘されています。

東京都内における有名な例としては、ゆりかもめの青海(あおみ)駅と青梅線の青梅(おうめ)駅を間違えるケースが挙げられます。青海駅は、ライブ会場などが集まるお台場エリアの最寄り駅として知られ、コンサート出演者が間違って青梅駅に行ってしまい、困り果てたという話がたびたびニュースになります。他にも、東京都の霞ケ関駅と埼玉県の霞ヶ関駅、山梨県の富士山駅と静岡県の富士駅なども、間違えやすい駅名の例として知られています。

[「温泉ないまんじゅう」話題に - 滋賀と群馬、同じ「草津」地名で混乱の実態滋賀県草津市の「温泉ないまんじゅう」と群馬県草津町の「温泉まんじゅう」を並べた比較画像]

観光協会に寄せられる実際の声

では、滋賀県の草津市と関東にある群馬県の草津町のように、地理的に大きく離れた場所で本当に間違いは起きているのでしょうか。その実態について、草津市観光物産協会の谷坂優希さんに話を聞きました。

谷坂さんによると、「実際に草津温泉と間違えて、草津市を訪れてしまうお客さんはいます。統計は取っていませんが、私の肌感覚では半年に一回は聞く話です。先月(6月)もご夫婦が来られましたし、昨年は台湾からのお客さんもいました」とのこと。さらに、草津温泉と勘違いして観光案内所や協会事務所にかかってくる電話は、年間約100件にも上るといいます。「おそらく、ネットで検索して間違えて草津市のサイトにたどり着き、電話をかけてしまうのでしょう。同じ地名で全く同じ漢字なので、仕方ない部分はあると思います」と語りました。

インターネット普及以前にも同様の間違いはあったそうで、草津市の企業関係者が出張先で「草津市から来ました」と言うと、「ああ、温泉の…!」と言われることがよくあったそうです。また、草津市には大手企業の工場が多く立地していますが、新入社員が赴任地を「草津」と聞いて、「温泉があって嬉しい!」と喜んでしまった例も少なくなかったといいます。

このように、「草津」という同じ地名から生じる混乱は、単なる勘違いではなく、実際に人々の行動や認識に影響を与えている実態が明らかになりました。「温泉ないまんじゅう」は、このユニークな状況を広く知ってもらうきっかけとなっているようです。

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