ファッション通販サイト「ZOZO」創業者の前澤友作氏(49)が100%出資する資産管理会社「グーニーズ」が、東京国税局から2021年3月期までの3年間で合計約4億円の申告漏れを指摘されていたことが明らかになりました。国税当局が脱税として告発したケースではないにも関わらず、詳細な税務調査の内容が報じられるのは異例です。この指摘の背景にある複雑な資金移動のスキームと、その目的は何だったのでしょうか。
国税当局が問題視した社債スキーム
国税当局が申告漏れとみなした資金移動は、複数の会社と関係者を介した複雑なものでした。まず、前澤氏の資産管理会社であるグーニーズは、2021年3月期に数億円規模の社債を発行しました。
この社債は、前澤氏の顧問税理士が設立に関与したとされる都内のコンサルティング会社が全額購入しました。グーニーズは、このコンサルティング会社に対して支払った社債の利子を、3年間で合計約2億円として経費に計上していました。
コンサル会社を経由した資金の流れ
資金の動きはここで終わりませんでした。コンサルティング会社は、グーニーズから購入した社債と同額の社債を自社から発行しました。このコンサルティング会社の社債を、今度は前澤氏の知人が購入していたのです。この知人が社債を購入するための資金は、前澤氏から低利子で借り入れたものでした。
最終的に、コンサルティング会社はグーニーズから受け取った社債の利子の大半にあたる金額を、自社が発行した社債の利子としてこの知人に対して支払っていました。
申告漏れが報じられたZOZO創業者、前澤友作氏
国税当局の判断と養育費との関係
一連の資金移動について、国税当局はグーニーズから知人への利払い(実質的な資金移転)を「寄付(贈与)」であると判断しました。その目的は、最高税率55%にもなる贈与税の負担を回避し、社債の利払いとして分離課税(約15%の源泉徴収)で済ませようとしたものだと指摘された模様です。
前澤氏側は読売新聞の取材に対し、この知人が「(前澤氏に)養育義務のある子供たちの母親である女性」であると説明したと報じられています。これにより、複雑なスキームが養育費の支払いに関連している可能性が浮上しました。
あるメディアの社会部デスクは、前澤氏には子供が3人いると過去に報じられたことに触れ、コンサル会社へ支払われた利息総額(約2億円/3年間)などから、1人あたり年間1500万円から2000万円程度の養育費に相当するのではないかと指摘しています。養育費は通常、金額や条件によっては贈与税が課される場合があり、この高額な支払いに対して贈与税を回避するため、税理士が今回の手法を助言した可能性が指摘されています。
最終的に、このスキームでグーニーズが計上した経費約2億円が、国税当局によって否認され、他の約2億円の申告漏れと合わせて約4億円の指摘につながったとみられます。
まとめ
前澤友作氏の資産管理会社「グーニーズ」が約4億円の申告漏れを指摘された問題は、社債と複数の会社を経由した複雑な資金移動が、国税当局に「養育費支払いのための贈与税回避スキーム」とみなされたことが背景にあります。通常は非公開とされる税務調査の詳細が報じられた異例のケースとして注目されています。
参考資料
- 読売新聞 2025年7月9日報道