ノーベル経済学賞受賞者サイモン・クズネッツ氏の分類によれば、途上国から先進国への移行は極めて稀でした。彼が生きた時代、それを成し遂げたのは日本だけだと考えられていました。しかし、現在、韓国がその「星」を掴み、多くの国際機関が先進国と認めるに至っています。
国際社会が認める「高所得国」韓国
ほとんどの国際機関は、韓国を先進国として分類しています。1996年には「先進国クラブ」と呼ばれる経済協力開発機構(OECD)に加盟し、2010年には援助を提供する供与国(ドナー)へと地位が格上げされました。世界銀行は、一人当たり国民総所得(GNI)を基準に1995年から韓国を最上位の「高所得国」に分類しています。国際通貨基金(IMF)も、国民所得や金融市場の発展度を基準に1997年から韓国を「先進経済圏」としています。
韓国の一人当たり国民総所得(GNI)が中進国から高所得国へ移行する推移を示すグラフ
なぜ?外国人との間に生じる認識のギャップ
韓国を訪れた外国人からは、「韓国がいかに豊かな国か、韓国人だけが知らない」という声が多く聞かれます。2019年の国際文化交流振興院の調査では、「韓国は先進国だ」と答えた外国人の割合は、アジア圏(日本を除く)で70%超、欧州で65%、米国で57%に達しました。しかし、韓国人自身の評価は大きく異なります。韓国国務調整室が最近発表した国民認識調査では、「韓国は先進国だ」と答えた割合はわずか27%でした。10年前の8%からは大幅に増加したものの、依然として国民の4人に1人しか先進国であることを体感できていない現状です。
「先進国コンプレックス」の正体と両面性
この韓国人の独特な心理は、「先進国コンプレックス」として説明されることがあります。米国、中国、ロシアといった大国に挟まれ、長らく弱小国としての時代を過ごしてきた歴史的背景から、「常に警戒し、目立たないようにしなければならない」という自己否定的な意識が根付いているという見方です。また、韓国人の考える先進国の基準があまりにも高すぎるという意見もあります。韓国人にとっての先進国は、米国、英国、ドイツ、フランス、北欧諸国、そして日本といった伝統的な先進国であり、自国はまだそこに至らないという意識があります。しかし、先進国になりたいという強い欲望や劣等感が、結果として韓国を先進国へと導いた側面も否定できません。韓国は、先進国を迅速に追随する「ファスト・フォロワー」戦略で成功を収めたのです。
今後の課題:ファスト・フォロワーから先導国家へ
急速な経済成長を遂げ、国際的に先進国と認められるようになった韓国にとって、これからの課題は追撃者である「ファスト・フォロワー」から、自ら道を切り拓く「先導国家」への転換です。K-POPやドラマなどの文化・芸術分野では、すでに先導国の仲間入りを果たしていると言えるでしょう。経済や社会のあらゆる面で「先導国家」としての実力を高め、国民のほとんどが自国を誇れるようになることが期待されています。
[引用元] 朝鮮日報日本語版 / Yahoo!ニュース