相続時の不動産に関する悩みは尽きません。「先祖代々の土地だから」「今は困っていないから」と、適切な対応が取れないでいる方は多いです。相続で家族間のトラブルを避けたいと願うなら、エスクロー・エージェント・ジャパン信託代表・平田明氏が提唱する「適切なタイミングでの不動産売却」を検討する価値があります。売却で得た資金を、管理しやすい資産に変えたり、公平に分けられる状態にしたりすることで、将来の争いを防ぎ、より豊かでストレスの少ない生活を送ることが可能になります。
不動産相続の「動けない状況」を生む呪縛とは?
平田氏は、不動産の相続において、多くの人が「動きたくても動けない」状況に陥る原因をいくつかの「呪縛」として指摘しています。
心理的な束縛とタブー視
「呪縛」とは、心理的な強制により人の自由を束縛することを指しますが、相続においては、必ずしも強制ではなく、相続について触れること自体が避けられる雰囲気や空気感もこれに含まれます。こうした状況が問題を引き起こさないのであれば良いのですが、実際には、多くの方が悩みを抱えているのが現状です。
不動産相続でよく見られる代表的な呪縛は以下の通りです。
- 呪縛①:「先祖代々の土地だけに、安易に売るわけには…」
- 呪縛②:「親が元気なうちは(目の黒いうちは)…」
- 呪縛③:「今、特に困ってないし必要ない」と言われ…
- 呪縛④:「相続税の納税のために残しておく」と言われ…
相続した不動産の維持費や修繕費がかさみ赤字になっているイメージ
「先祖代々の土地」呪縛への発想転換
特に強い「呪縛」の一つが、「先祖代々受け継がれてきた土地だから、安易に売却できない」というものです。不動産を相続する際、それが家にとって大切な場所であれば、「自分の代で売却してしまっていいのか?」という迷いや葛藤が生じるのは自然な感情です。「できれば売らずに守り続けたい」と考える方も多いでしょう。
しかし、この感情に囚われすぎると、維持費や固定資産税などのコスト負担が増え続けたり、将来の相続で権利関係が複雑になり、結局は家族間の争いの原因となったりするリスクが高まります。平田氏は、こうした呪縛も「別の視点」や「発想の転換」を取り入れることで解決できると述べます。本当に残したい大切なものを守るためには、負担の大きい、あるいは将来トラブルの種になりそうな不動産を手放し、より管理しやすく、安定した価値を持つ資産に変えるという視点が必要なのです。
まとめ
不動産相続における「呪縛」は、円滑な手続きを妨げる大きな要因です。「先祖代々の土地だから」という感情もその一つです。専門家は、本当に守るべき大切なものを守るため、負担となる不動産の売却も一つの選択肢として検討すべきだと提唱します。新しい視点を持つことが、家族の未来を豊かにし、幸せな相続を実現する鍵となります。
参考文献
『地主が知っておくべき 幸せな相続と不動産売却』 平田明 著