米国のトランプ大統領は14日、ウクライナ侵攻を続けるロシアに関して「重大な声明」を発表します。米メディアは13日、この声明がウクライナへの新たな兵器供与計画であり、攻撃用兵器が含まれる見通しだと報じました。もし実現すれば、これまで紛争エスカレートを避けるために防御用兵器のみ提供してきたトランプ政権の大きな方針転換となります。
「攻撃用兵器」供与の詳細と期待
米ニュースサイト「アクシオス」によると、この新たな計画は14日の北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長との会談に合わせて公表されます。攻撃用兵器には、首都モスクワなどロシア領内奥深くにある目標を攻撃できる長距離ミサイルが含まれる可能性があります。米国やウクライナ当局者は、これらの兵器がプーチン大統領の停戦計算を変更させ、戦況を変えることへの期待を寄せています。
トランプ氏のこれまでの発言
トランプ氏は10日のNBCニュースのインタビューで、14日にロシアに関する「重大な声明」を出すと言及していました。また、13日にはワシントン近郊で記者団に対し、ウクライナを守るのに必要なパトリオット防空システムの追加供与を検討しており、費用は欧州連合(EU)が負担する見通しだと明かしました。供与数は未定です。14日の自身の発表内容については「明日どうなるか見てみよう」と詳細を避けました。
ワシントン近郊で報道陣に囲まれ、ウクライナへのパトリオット追加供与について語るトランプ前米大統領(2024年7月13日)
プーチン氏への批判強化
プーチン氏については、「非常に失望している。口では優しいが、夜になると皆を爆撃する。それは好きではない」と改めて批判しました。トランプ氏は大統領復帰後、プーチン氏と6回電話会談しましたが、今月3日の協議では、トランプ氏が早期停戦を求めたのに対し、プーチン氏が応じない姿勢を見せたとされています。8日には、「プーチンからは多くのでたらめを聞かされている」「人々を殺しており不満だ」と批判のトーンを強めていました。
兵器支援の経緯
ウクライナへの兵器支援を巡っては、トランプ政権は7月初めに一部の供給を停止しましたが、トランプ氏は8日に再開を承認しました。パトリオット追加供与については、9日に「ウクライナは激しい攻撃を受けており死を防ぎたい。非常に高価だが検討している」と記者団に述べていました。
新たな資金援助の可能性
米CBSテレビは12日、トランプ氏がウクライナへの新たな資金援助を検討していると報じました。実現すれば、トランプ氏の1月復帰後初めてとなります。バイデン前政権下で残された38億5000万ドル(約5700億円)などを利用する可能性があるとのことです。
結論
これらの報道から、トランプ氏は14日の「重大な声明」で、ウクライナへの攻撃用兵器を含む新たな兵器供与や資金援助といった、これまでとは異なる支援策を打ち出す可能性があります。これはトランプ政権の対ロシア・対ウクライナ戦略における重要な転換点となるか、今後の動向が注目されます。
参考資料
米メディア報道(アクシオス、NBCニュース、CBSテレビ)、ロイター通信