参議院選挙東京選挙区に新人として立候補した参政党のさや氏が14日夕方、東京・目黒駅前で街頭演説を行った。演説中には、参政党に反対する立場の人々から「排外主義者!」といった激しいヤジが飛んだが、集まった支援者らは「さやコール」でこれに応酬。会場周辺は一時騒然とした雰囲気に包まれた。参政党は「日本人ファースト」を前面に掲げ、今回の参院選における「台風の目」として注目を集めている。
参政党の掲げる「日本人ファースト」と批判
「日本人ファースト」というスローガンを掲げる参政党だが、外国人の受け入れに厳しい姿勢を示していることから、「排外・差別主義だ」との批判も根強く存在する。この日のさや氏の演説においても、彼女が「参政党は日本人のことを何よりも大事に思っている政党です」と訴えた際、「排外主義者!」「レイシスト引っ込め!」「うそつき!」といった厳しいヤジが複数の人から浴びせられた。しかし、さや氏は「何がうそなんですか」と質問を投げかけ、毅然とした態度で立ち向かった。これに対し、演説を聞きに来ていた支援者たちは、大きな「さやコール」で候補者を後押しした。
参院選東京選挙区に立候補した参政党新人のさや氏が目黒駅前で街頭演説を行う様子
自民党経済政策への批判を展開
さや氏は演説の主要な論点として、現政権与党である自由民主党の経済政策を強く批判した。「この30年間で日本人が豊かにならなかったのは、日本人のせいではない」と断言し、「明らかに間違った自民党の経済政策の結果だ」と指摘した。停滞が続いている日本の経済状況に対する国民の不満を代弁する形で、既存政治への不信感を訴えた。
石破首相発言への反論と日本の「自立」訴え
さらに、さや氏は石破茂首相が9日の街頭演説で行った、トランプ前大統領との関税交渉に関する「国益をかけた戦いだ。なめられてたまるか」という発言にも言及し、反論を展開した。「アメリカは別に日本をなめているわけではなく、石破内閣では相手にならないと言っているだけだ」と述べ、日本の外交力や交渉力の現状に疑問を呈した。そして、「今のままの体制だったら未来永劫なめられ続けるだろう」と危機感をあらわにした上で、日本が今後経済的にも軍事的にも自立し、「本当の意味での自立の道を歩まなければいけない」と強く訴えた。そのための具体的な政策として、「まずは、消費税の廃止をテーマにする」と主張し、会場の聴衆に支持を求めた。
参政党さや氏が目黒駅前での演説中、支持者からの声援に応え手を振る姿
参院選東京選挙区立候補者一覧
今回の参院選東京選挙区には、以下の32人が立候補している(届け出順)。
- 吉良佳子(共産)
- 山本譲司(れいわ)
- 吉永藍(無所属)
- 土居賢真(無所属)
- 藤川広明(諸派)
- 西美友加(社民)
- 小坂英二(保守)
- さや(参政)
- 峰島侑也(諸派)
- 武見敬三(自民)
- 奥村政佳(立民)
- 牛田茉友(国民)
- 酒井智浩(みんつく)
- 福村康広(諸派)
- 桑島康文(諸派)
- 渋谷莉孔(諸派)
- 奥村祥大(国民)
- 吉田綾(諸派)
- 鈴木大地(自民)
- 塩村文夏(立民)
- 吉沢恵理(無所属)
- 市川たけしま(諸派)
- 川村雄大(公明)
- 音喜多駿(維新)
- 平野雨龍(無所属)
- 山尾志桜里(無所属)
- 千葉均(諸派)
- 増田昇(無所属)
- 辻健太郎(諸派)
- 早川幹夫(諸派)
- 石丸幸人(諸派)
- 高橋健司(無所属)
目黒駅前で行われた参政党新人・さや氏の街頭演説は、党の主張する「日本人ファースト」を巡る賛否が激しく交錯する場となった。ヤジに対する毅然とした対応や、自民党批判、そして日本の経済的・軍事的自立、消費税廃止といった政策提言は、参政党が選挙戦で訴えたいメッセージを明確に示していた。今回の演説は、参政党が直面する逆風と、それを押し返そうとする支援者の熱意の両面を浮き彫りにした出来事と言える。