司法取引、裏帳簿を証拠提出 アパレル会社横領 10年、約2億円か





東京地検が入る中央合同庁舎第6号館(大西史朗撮影)

 東京都内にあるアパレル会社の元代表取締役らが売上金を着服したとして業務上横領容疑で家宅捜索を受けた事件で、東京地検特捜部との司法取引に応じた元社員が、不正経理を記録した「裏帳簿」を特捜部に提出していたことが4日、関係者への取材で分かった。着服は過去10年間にわたり行われ、総額2億円近くに上るとみられる。特捜部は元代表らの刑事責任追及の可否を検討している。

 家宅捜索を受けたのは、渋谷区にあるアパレル会社「GLAD(グラッド)HAND(ハンド)」。

 関係者によると、元代表から指示を受けた経理担当の元社員が、セールなどで販売価格から値引きしたように装い、実際の売上金との差額を「裏金」として現金で金庫に入れて保管。元社員は、どの商品をいくら値引きしたように装ったかなどを詳細に記録した裏帳簿を付けていたという。

 不正経理は現在の社名になった平成21年から10年間にわたって行われ、元代表らが着服した総額は2億円近くに上るとみられる。これらの一部を元代表が私的に流用していたという。

 今年6月以降、不正を把握した会社関係者が特捜部に申告。特捜部は元社員との協議を開始し、11月下旬に合意した。裏帳簿の提出など捜査に協力する代わりに起訴を見送る内容とみられる。

 特捜部は11月26日に同社関係先を家宅捜索。裏帳簿を元代表らの着服を裏付ける重要な証拠とみて、押収資料を分析するなどして詰めの捜査を進めている。元代表と元社員らは家宅捜索後に解任・解雇された。

 司法取引は共犯者ら他人の犯罪の捜査・公判に協力する見返りに、刑事処分を軽減する捜査手法。昨年6月の制度開始以降、日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告(65)らが起訴された事件などに続き、今回で3例目とみられる。



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