務安空港旅客機事故、中間報告で「パイロットが作動中の左エンジンを誤って停止」と判明

昨年末、全羅南道の務安(ムアン)国際空港で179名の犠牲者を出した旅客機事故の原因究明が進む中、国土交通部航空鉄道事故調査委員会は「パイロットが作動中の左エンジンを誤って停止させた」とする中間報告をまとめました。この報告は、事故の直接的な原因としてパイロットの操作ミスを指摘するもので、事故調査の新たな局面を示しています。しかし、遺族側は調査結果に強く反発しており、今後の最終報告が注目されます。

国土交通部事故調査委員会の中間報告詳報

調査委員会は19日午後、務安国際空港で発生した当該旅客機のエンジンに対する詳細な調査結果を遺族に説明しました。今年3月に事故機に搭載されていた2つのエンジンは、専門的な分析のためフランスの製造元に送られ、その結果が今回取りまとめられました。報告によると、事故は作動中の左エンジンが誤って停止されたことに起因し、これにより旅客機は飛行に必要な推進力を完全に喪失したとされています。

調査委員会は当初、遺族への説明直後にメディア向けの発表を予定していましたが、遺族からの強い反発を受け、その発表は取りやめられました。遺族らは「調査委員会は滑走路先端のコンクリートの土台や機体の欠陥など、他の可能性については一切言及せず、事故原因をパイロットの過失にのみ帰している。これは到底納得できない」と主張し、報告内容への不信感を表明しています。

ブラックボックスが示すパイロットの意図と操作の食い違い

20日までの取材を総合すると、調査委員会が遺族に報告した内容には、以下のような詳細が含まれていました。事故当時、鳥との衝突により激しく損傷した右エンジンをパイロットは停止させるべきでしたが、実際には作動中の左エンジンを誤って停止させてしまったとのことです。この結果、両エンジンは推力を失い、ランディングギア(車輪)も正常に作動しなかったとされています。

ブラックボックスの一部であるコックピット・ボイスレコーダー(CVR)には「2番エンジン(右エンジン)を切ろう」というパイロットの発言が録音されている一方で、フライトデータレコーダー(FDR)には1番エンジン(左エンジン)が停止された記録が残っていました。この記録から、パイロットは損傷した右エンジンを停止しようとしたものの、誤って左エンジンを右エンジンと取り違えて操作した可能性が高いと分析されています。電子エンジン制御装置(EEC)などの詳細な分析も行われ、調査委員会は「エンジン自体には機械的な問題はなかった」と結論付けており、左エンジンの停止はパイロットによる直接的な操作ミスが原因であると判断しています。

従来の事故原因認識と新たな調査結果の提示

これまで務安航空機事故の直接の原因は、滑走路への接近中にトモエガモの群れと衝突した「バードストライク」であると広く認識されてきました。事故発生当日の昨年12月29日午前8時57分、務安空港管制塔管制官は事故機に対し鳥への注意を促し、その直後の午前8時58分56秒にはパイロットから「メイデー、メイデー。バードストライク、ゴーイングアラウンド(着陸を中断し再度上昇)」との緊急連絡が入っていました。当時、事故機の右エンジンに渡り鳥が吸い込まれ、エンジンの後方から炎が噴き出す映像も公開されています。

調査過程では、2つのエンジンからいずれもトモエガモの羽毛や血痕が発見されており、カモの群れとの衝突が双方のエンジンに問題を引き起こし、これが旅客機の電気系統や油圧装置に異常を発生させ、結果的に車輪が出なかったためにパイロットらは「胴体着陸」を強いられた、というのが大方の見方でした。しかし今回、調査委員会は「左エンジンが停止されたのは単に鳥との衝突が原因ではなく、パイロットのミスによるものだった」という趣旨の調査結果を発表し、これまでの認識に新たな事実を提示した形です。

参考文献