恥を忍んでお願いしますが
プロ野球・横浜DeNAが、昨年同球団に所属していたマイク・フォードの獲得を、そして阪神は2016年から2019年まで所属していたラファエル・ドリスの獲得を発表した。フォードはクライマックスシリーズで大活躍をし、ドリスは抑えの切り札としてファンの印象は強い。さらに、DeNAは中日で首位打者経験もあるダヤン・ビシエドも獲得。
シーズン後半に向け、両チームとも補強をした形だが、ネット上の声を見ると概ね歓迎する意見となっている。フォードとドリスは同じチームへの「出戻り」で、ビシエドはNPBへの「出戻り」。
過去にNPBにいた選手だからこそ、ある程度の活躍が期待できることに加え、当時の彼らの活躍や素行が好まれているからこその歓迎だが、これは一般的な仕事人でも適用されるものである。
かつての職場への「出戻り」だ。会社を辞めた場合、かつては「二度とウチの敷居をまたぐんじゃねぇ!」などと冷たく言い放たれたもの。だが、ここ最近、いわゆる「出戻り社員」を目にする機会が増えた。
率直に言って、彼らは職場で歓迎されているし、本人も古巣に戻ったことへの感謝を口にする。なぜ出戻り社員が認められるようになったかといえば、少子高齢化に伴う現役世代の減少がもたらした、深刻な人手不足が前提として存在する。その上で、「出戻り社員」を受け入れる企業にとって、想像以上に多くの“メリット”があることが理解され始めたのかもしれない。
そもそも、一旦辞めた人間は、仕事の内容や職場環境に違和感を覚えたり、不満があったりしたわけだから辞めたわけだが、別の組織を経験すると、そこでも同じような葛藤を抱えることは珍しくない。結果、「退職したあの会社は実は良い会社だったんだな……。よーし、頭を下げてまた雇ってもらうか」といった話になる。この手の話には浪花節的な要素が絡むもので、こう考えた元社員が、仲の良かった上司に「飲んでもらえますか? 相談がありまして」と言うところから始まる。
そしてサシ飲みの際、「やっぱり〇〇社はいい会社だと分かりました! 恥を忍んでお願いしますが、私をもう一度雇ってくれるよう、上層部にかけあってもらえませんでしょうか!」とやるのである。