参政党、神奈川新聞記者の会見出席を認めず波紋 ― 取材拒否の背景と世論の反応

2024年7月22日、参政党は国会内で開催した定例記者会見において、事前の出席申請がなかったことを理由に神奈川新聞記者の出席を認めない対応を取り、波紋を広げています。この件について神奈川新聞は「取材を不当に拒否し、排除した」と報じ、党に正式な抗議文を提出。国民の「知る権利」を巡る議論が活発化しています。

会見での出来事と神奈川新聞の抗議

参政党の神谷宗幣代表(47)らが出席した22日の定例記者会見で、神奈川新聞の記者は名刺を提出し一度会場に入ったものの、党スタッフから退席を求められました。記者が事前登録の必要性について約5分間やり取りする中で、スタッフは「会見の主催者権限があり、こちらで決められる。警備を呼ぶ」と告げ、退席を迫ったとされています。

これに対し、神奈川新聞は翌23日付朝刊で「取材を不当に拒否し、排除した」と報道。同日、佐藤奇平統合編集局長名で参政党に対し、「正当な理由なく記者の出席を拒むのは国民の知る権利をないがしろにする行為で到底容認できない。ジャーナリズム全体を軽視する行為と言わざるを得ない」とする抗議文を提出しました。メディアと政党の関係における透明性と公正性が問われる事態となっています。

ネット上の反応と多様な意見

この神奈川新聞の報道を受け、24日午前にはソーシャルメディアX(旧ツイッター)で「神奈川新聞記者」が急上昇ワードとしてトレンド上位にランクインしました。この出来事に対するネット上の世論は大きく二分され、様々な意見が飛び交っています。「これはダメですね」「ご都合主義では?」「司法の場に持ち込むのが、一番無駄がなく手っ取り早いのでは」といった参政党の対応を批判する声がある一方で、「拒否されて当然でしょうね」「マスコミは都合のいい時は『知る権利』と言いますね。いつもは『報道しない自由』を行使しているくせに」など、メディア側の姿勢にも疑問を呈する意見も見受けられ、議論が深まっています。

参政党の神谷宗幣代表が記者会見で話す様子参政党の神谷宗幣代表が記者会見で話す様子

参政党側の説明とルールの曖昧さ

参政党の広報担当者は取材に対し、神奈川新聞記者の出席を認めなかった理由について、「過去に会見に出席したことがある記者は事前申請不要だが、それ以外の記者は必要だった」と説明しました。また、「会場から無理やり出していない」とも付け加えています。

しかし、複数の新聞社が受け取った会見開催案内には、事前申請が必要との明確な記載はなかったと報じられています。さらに、参政党の公式ホームページ(HP)にはフリーランス記者を対象に「会見取材には一定の基準を定めている」とあるものの、新聞記者への言及はありません。広報担当者は「申請方法が周知徹底できておらず申し訳ない。今後適切に対処したい」と述べたものの、23日夜時点ではHPの記述は変更されていません。これにより、党内の取材ルールとその周知体制の曖昧さが浮き彫りになりました。

記者の証言と現場の状況

神奈川新聞の記者によると、会見会場で名刺を提示し入場を試みた際、党スタッフから退席を求められたとのことです。記者が事前登録の必要性について問い質すと、スタッフは「主催者側に権限があり、こちらで決められる」「警備を呼ぶ」と告げ、退席を強く迫ったと証言しています。この対応は、情報公開とメディアの役割に対する参政党の姿勢について、さらなる疑問を投げかけるものとなりました。

結論

今回の参政党による神奈川新聞記者への取材拒否は、政治における透明性、国民の「知る権利」、そして報道機関の自由という、民主主義の根幹に関わる重要な問題を提起しました。参政党はルールの周知不足を認め、今後の適切な対応を約束しましたが、その具体的な改善策と実行が注目されます。この一件は、メディアと政治の間におけるコミュニケーションのあり方、そして情報公開の基準について、社会全体で再考を促す契機となるでしょう。

参考資料