台湾史上最大の議員リコール、国民党24人全員不成立で頼政権に打撃

台湾立法院(国会、定数113)で多数を占める最大野党・国民党の立法委員(国会議員)24人に対する解職請求(リコール)の是非を問う、台湾史上最大規模の住民投票が26日、各選挙区で実施されました。即日開票の結果、中央選挙委員会によると、24人のリコールは全て不成立に終わりました。この「罷免ゼロ」という民意は国民党に勢いをもたらし、与党・民進党の頼清徳政権にとっては逆風となる見込みです。

台湾台北市の小学校で立法委員解職請求投票を行う有権者台湾台北市の小学校で立法委員解職請求投票を行う有権者

台湾史上最大のリコール投票、国民党議員全員が解職を免れる

26日に台湾全土で実施されたリコール投票は、親中路線を取る国民党の立法委員24人を対象としたもので、その規模は台湾史上最大となりました。有権者たちは、彼らの議員としての職務継続の是非について判断を下しました。中央選挙委員会が発表した最終結果は、対象となった国民党議員全員の解職請求が不成立となったというもので、これは多くの政治アナリストにとって予想外の展開でした。

頼清徳政権への逆風と今後の政治動向

今回の「罷免ゼロ」の結果は、国民党の政治的勢いを強固なものとし、少数与党である頼清徳総統率いる民進党政権にとっては明らかな逆風となります。現在「ねじれ議会」の状態にある立法院において、民進党は今回のリコールが成立し、それに伴う補欠選挙で6議席以上を奪い過半数を確保することで、頼総統による安定した政権運営の道を開く算段でした。しかし、その目論見は打ち砕かれた形です。頼総統は26日夜、自身のフェイスブックで「選挙結果を皆さんは尊重し受け入れるべきだ」と述べ、民意を尊重する姿勢を示しました。なお、8月23日には別の国民党立法委員7人を対象とするリコール投票も予定されており、その動向にも注目が集まります。

世論調査に見る有権者の心理

今回のリコール投票を巡っては、今月、民間団体「台湾民意基金会」が実施した世論調査が注目されていました。この調査では、「不賛成」が約48%を占め、「賛成」の約42%を上回る結果となっていました。この背景には、国民党側が強く主張していた「与党に過半数の議席を与えると一党独裁になる」という論点が有権者に広く浸透したことが考えられます。有権者は、特定の政党が過半数を占めることによる政治的な偏りを懸念し、国民党議員の解職を望まなかったと推測されます。

まとめ:国民党の勝利と頼政権の課題

台湾史上最大規模となった国民党立法委員のリコール投票は、対象者全員が解職を免れるという結果に終わりました。これは国民党にとって大きな勝利であり、頼清徳政権、特に民進党が目指していた「ねじれ議会」解消への道が閉ざされることとなり、今後の政権運営における大きな課題となるでしょう。今回の住民投票結果は、台湾有権者の政治的成熟と多様な意見を反映するものであり、今後の台湾政治情勢に大きな影響を与えることは確実です。

参考文献

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