2025年の参院選でも主要な票田となり、その苦境が改めて浮き彫りになった氷河期世代。就職難、非正規雇用、低年収、そして大増税時代による手取りの減少といった現実に加え、今後待ち受ける親の介護や老後破綻への懸念は、彼らの人生設計に重くのしかかっています。このような厳しい状況の中、「人生の後半をどう生きるか」という問いは、多くの氷河期世代にとって喫緊の課題です。
特に近年、老後の生活設計として「物価の安い国への海外移住」を検討する声も聞かれます。しかし、自身もフランスを拠点とするひろゆき氏は、そのような一般的な認識とは異なり、「海外移住よりもコストパフォーマンスに優れた移住先が存在する」と語ります。その理由とは一体何なのでしょうか。
かつての「海外移住」はもはや現実的ではない?
かつては、東南アジアなどの物価の安い国へ移住し、年金収入で悠々自適な生活を送る日本人高齢者の話がよく聞かれました。当時は円高であったため、海外での生活費を抑え、日本にいるよりも豊かな暮らしを送ることが可能だったのです。しかし、日本が「失われた30年」を経験する間に、世界経済は大きく変化しました。
海外の多くの国々は経済成長を遂げ、賃金や物価が大幅に上昇しています。これにより、日本人が海外で生活するハードルは格段に上がったのが現状です。例えば、現在のタイでは、家賃や食費を最大限切り詰めたとしても、月に約10万円程度の生活費がかかると言われています。フィリピンの地方都市であれば月5万円で生活している日本人もいますが、病気や事故といった不測の事態が発生した際には、多額の医療費が必要となるリスクが伴います。
さらに、海外の医療制度や福祉制度は日本と大きく異なるため、事前に想像していたようなサポートが得られない可能性も高いのです。永住権を持たない場合は定期的に日本へ帰国する必要があり、そのたびに発生する航空券代も決して軽視できません。このように、特殊な技能(例えば寿司職人のように海外で外貨を稼げる職業)を持たない限り、海外での安定した生活は非常に困難であるとひろゆき氏は指摘します。外貨を稼げる職であれば日本にいるよりも収入が増える可能性があり、海外の銀行の利子が高いというメリットもありますが、これはあくまで一部の人に限られた選択肢です。
「コスパ最強」は日本の地方都市という選択肢
それでは、氷河期世代にとって最もコストパフォーマンスに優れた移住先とはどこなのでしょうか。ひろゆき氏が提唱するのは、意外にも日本の地方都市です。海外での生活が経済的に厳しくなっている現状を鑑みると、多少の不便さがあったとしても、日本の地方都市の方が圧倒的にコスト効率が良いというのです。
氷河期世代の移住先について解説するひろゆき氏
地方都市でも、中心部から離れて車が必須ではない地域を選べば、年金収入だけでも十分に生活できる可能性があります。地方での暮らしは、空気の綺麗さや自然の豊かさといった環境的なメリットに加え、インターネットが普及している現在においては、欲しいものがほぼ手に入る利便性も享受できます。趣味に関しても、オンラインで完結できるものであれば、東京に住んでいるのと大差ない生活の充実度を得られるとひろゆき氏は語ります。
さらに、地方移住の大きなメリットとして、既存の人間関係を維持しやすい点が挙げられます。気心の知れた友人たちとたまに会って飲みに行くだけでも、生活の質や精神的な充足感は大きく変わるでしょう。海外移住で直面しがちな孤独感や文化的な隔たりに悩まされることなく、慣れ親しんだ環境で安定した老後を迎えられる可能性は、多くの氷河期世代にとって現実的かつ魅力的な選択肢と言えるでしょう。
まとめ
物価高と給与の停滞が続く現代において、氷河期世代が老後を安心して暮らすための移住先選びは極めて重要です。かつてのような海外移住の夢は、経済状況の変化により、現実的な選択肢ではなくなりつつあります。医療や福祉、永住権の問題、そして急な出費への対応など、海外での生活には見えないリスクが数多く潜んでいます。
ひろゆき氏が示すように、日本の地方都市への移住は、経済的なメリットだけでなく、生活の質や精神的な安定をもたらす「賢い選択」となり得ます。インターネットの普及により地方と都市の生活における利便性の差が縮まっている今、きれいな空気と身近な人間関係の中で、コストを抑えつつ豊かな老後を過ごすという選択肢は、氷河期世代が人生の後半を切り開く上での現実的な解決策となるでしょう。
参考文献:
- Yahoo!ニュース: 「ひろゆき、『海外移住よりコスパいい』と語る意外な移住先…」 (https://news.yahoo.co.jp/articles/66af38511e32f6d9f83fb8790d13762be2a8c85a)