自公与党が参院選で敗北して以来、石破茂首相の去就に国民の注目が集まっています。同時に、自民党内では次期「ポスト石破」を巡る動きが活発化しており、次期首相候補として名前が挙がる高市早苗前経済安保担当相の動向が注目されます。しかし、党内には高市氏に対する根強い警戒感があるとも指摘され、今後の自民党総裁選の行方は不透明です。
参院選前の「フライング早苗」発言と石破政権の行方
高市氏は参院選投開票2日前の7月18日、「私なりに腹をくくった。もう1回、党の背骨を入れ直す。そのために戦う」と応援演説で発言しました。これは、必達目標とされた「自公で過半数」の獲得が困難であることを見越し、「ポスト石破」への意欲をにじませたものと受け取られました。永田町の一部からは、時期尚早な意思表示として“フライング早苗”といった呼称も聞かれるほどでした。
石破首相は続投の意向を示しているものの、政権が立ち往生し、遅かれ早かれ退陣が不可避との見方が有力です。仮に自民党総裁選が実施される場合、都道府県連票を減らした「簡易バージョン」形式が模索されていると報じられています。
高市早苗氏：次期自民党総裁選への意欲と課題
高市氏の党内基盤と推薦人確保の課題
政治部デスクによると、高市氏の党内基盤は希薄です。派閥の有無に関わらず、党内の実力者の後ろ盾なくしては、総裁選での勝利はおろか、立候補に必要な20人の推薦人確保すら困難とされます。高市氏自身もこの点を理解し、以前から積極的に動いていますが、党内には依然として根強い警戒感があり、これは昨年の総裁選時と変わらないと見られています。
昨年の総裁選の振り返り：高市氏のサプライズ躍進
ここで、昨年9月27日に投開票された自民党総裁選の状況を振り返ってみましょう。最終的に石破氏が新総裁に選出されましたが、1回目の投票で意外にもトップに立ったのは高市氏でした。当時の得票は高市氏が181票（議員票72、党員・党友票109）、石破氏が154票（議員票46、党員・党友票108）でした。政治関係者の間では、党員・党友票でトップと目された石破氏をしのぎ、さらに議員票でも小泉進次郎氏に次ぐ2位で70票を超えたことは、総裁選告示時点では全くの想定外であり、「サプライズ」として広く受け止められました。選挙は勢いで決まる側面が強く、この時の高市氏には確かにその勢いがありました。そのため、そのまま決選投票でも勝利し、日本初の女性首相の座を射止めるのではないかと期待した関係者も少なくありませんでした。この結果は、高市氏の潜在的な支持層の広さを示すものとなりました。
参院選の敗北を受け、自民党内では次期総裁選の動きが加速しています。高市早苗氏は有力候補の一人ですが、党内の根強い警戒感や推薦人確保といった党内基盤の課題は依然として存在します。「簡易バージョン」での総裁選となれば、党内での支持固めがより一層重要となるでしょう。高市氏がこれらのハードルを乗り越え、次期自民党総裁の座を射止めることができるか、その動向は日本の政局を大きく左右すると言えるでしょう。
