高崎線で車掌の居眠りか、JR上尾駅でドアがホームと反対側に誤開閉 – 2000人乗車も事故なし

2025年8月7日午後6時35分頃、埼玉県上尾市のJR上尾駅に停車していた高崎線の普通列車(15両編成)で、ホームとは反対側のドアが開くトラブルが発生しました。この事態に対し、JR東日本高崎支社は、ドア開閉を担当する車掌が「一時的な睡魔に襲われた」と説明しており、駅到着に気づくのが遅れて慌てて逆側の開閉ボタンを押したことが原因であると発表しました。

事故の詳細と原因究明

JR東日本高崎支社の報告によると、列車の乗務員室には左右に出入り口があり、それぞれにドア開閉ボタンが設置されています。本来、駅に列車が入線した後は、車掌はホーム側のボタンを押してドアを開けるべきですが、このトラブルでは誤って反対側のボタンが押されてしまいました。この人為的なミスが、乗客の安全を脅かす可能性のある状況を生み出しました。

高崎線車両のドアがJR上尾駅でホームと反対側に誤って開いている様子高崎線車両のドアがJR上尾駅でホームと反対側に誤って開いている様子

運行への影響と乗客の証言

このドアの誤開閉トラブルにより、列車は約8分後に運行を再開しました。当時、帰宅時間帯で列車には約2000人の乗客が乗っていましたが、幸いにも転落などの重大な事故は発生しませんでした。しかし、乗客からは強い懸念の声が上がっています。列車の最後尾に乗っていた26歳の男性会社員は、「車掌は上尾駅に到着する前からずっと下を向いており、眠っているように見えた」と証言し、「ドアに寄りかかっていた人がいれば転落しかねず、とても危ないと思った」と危険性を指摘しました。

また、別の24歳の女性乗客は、「乗客たちはドアが開くはずのホーム側を向いていたので、反対側のドアが開くと振り向いて驚いた様子だった」と当時の混乱を語っています。今回の事態は、日常の安全運行を当然と考える乗客にとって、鉄道の安全対策に対する不安を抱かせるものとなりました。

JR東日本の対応と今後の対策

JR東日本高崎支社は、今回のトラブル発生後、車掌の乗務前の健康チェックでは問題がなかったとしています。しかしながら、この重要なトラブルを国土交通省関東運輸局に報告し、「全乗務員の指導を徹底する」とのコメントを発表しました。鉄道会社は、乗客の安全を最優先に考える責任があり、このようなヒューマンエラーによるトラブルを未然に防ぐための厳格な指導と、再発防止策の徹底が求められます。今回の件を受け、JR東日本は、乗務員の健康管理と安全意識の再徹底に向けた具体的な取り組みを進める必要があります。

今回の高崎線でのドア誤開閉トラブルは、鉄道運行におけるヒューマンエラーの危険性を改めて浮き彫りにしました。幸いにも事故には至りませんでしたが、一歩間違えれば大惨事になりかねない状況であり、鉄道事業者には絶え間ない安全対策の強化が求められます。


参考文献