閉幕が迫る大阪・関西万博で、公式グッズを狙った悪質な窃盗事件が多発しています。今年6月、会場内のショップで公式キャラクター「ミャクミャク」グッズを含む111点、約41万円相当が万引きされた事件を皮切りに、大学生や無職の者を含む計6人が逮捕されました。彼らの犯行は単なる窃盗にとどまらず、転売目的の組織的な計画、さらには新幹線での無賃乗車や万博会場への不正入場など、驚くほど巧妙かつ大胆な手口が明らかになっています。
転売目的の大胆な犯行手口と巧妙な逃走
今回の窃盗グループは、子ども服メーカー「ファミリア」とのコラボ商品など、再販される限定グッズを狙って万博会場を訪れていました。限定品は高値で転売できるため、彼らにとって魅力的な標的だったのです。彼らは過去にも万博会場で万引きを行い、それが発覚しなかったことから、今回は大量の窃盗に及んだと見られています。
手提げカバンにぬいぐるみ、扇子、ワッペンなどを詰め込み、一度会場内のロッカーに預けた後、別の店舗へ移動してさらに商品を詰め込むという大胆な手口で犯行を重ねました。しかし、あまりにも無謀な行動が近くの客の目に留まり、店員に通報されて事件が発覚。現場で2人が取り押さえられたものの、残る4人はその場から逃走しました。その後の捜査で、逮捕された河野容疑者の自宅天井裏からは約50点もの万博関連グッズが発見されており、組織的な犯行が裏付けられています。
大阪・関西万博会場の全景。多数の窃盗事件が発生した万博会場の様子。
「撮り鉄」仲間による組織的犯行と余罪
逮捕された6人の容疑者は全員が鉄道写真撮影を趣味とする、いわゆる「撮り鉄」仲間でした。彼らの多くが首都圏の中堅私立大学に通う大学生であり、グループ内で計画を立て、犯行に及んだとされています。
捜査関係者によると、彼らの悪行は万引きだけではありませんでした。事件当日、容疑者らは東京駅で集合し、わずか150円の入場券で新幹線に乗車。車掌の目を盗んで車内で連絡を取り合いながら、新神戸駅で下車し会場へと向かっていました。新神戸駅は「無賃乗車がバレにくい駅」として撮り鉄の間で知られており、彼らは駅員の目を欺いて別々に改札を通過していたといいます。
さらに、会場への入場時にも不正を働いています。大人料金ではなく、12~17歳を対象とした「中人料金」で入場していました。入場ゲートでは年齢確認がなく、スマートフォンでチケットのQRコードをかざすだけで係員に止められることはなかったと報じられています。
逮捕された容疑者の一人は、警察の調べに対し「(万博会場に近い)新大阪駅は警備が厳しいから、新神戸駅で降りた。撮り鉄は日本全国あちこちに鉄道で出かけるが、大体キセルです。撮り鉄の仲間内では無賃乗車が当たり前で、多くの人に知れ渡っているやり方です」と供述しており、社会規範を軽視する彼らの姿勢が浮き彫りになりました。
法を軽視する行為への批判と法の裁き
万博会場での窃盗、新幹線での無賃乗車、そして不正入場と、悪質な行為を連鎖的に繰り返した「撮り鉄」グループ。彼らの行動は、大阪・関西万博の運営側や鉄道会社に多大な損害を与えただけでなく、真面目に鉄道趣味を楽しむ人々、ひいては社会全体への迷惑行為として強く批判されています。法の秩序を軽んじ、自分たちの都合の良いように解釈する彼らの行いに対し、厳正な法の裁きが下されることとなるでしょう。