石丸伸二氏、「再生の道」代表を退任会見でメディアと激論

政治団体「再生の道」代表の石丸伸二氏(43)が8月27日、都内で代表退任会見を開催しました。今年1月の政党立ち上げからわずか7カ月余りで、同党は6月の東京都議会議員選挙、7月の参議院議員選挙で全敗を喫しており、今回の退任はその結果を受けたものです。

代表退任の背景と「石丸節」の炸裂

石丸氏は2024年7月の東京都知事選挙で、現職の小池百合子氏(73)に次ぐ2位と大健闘し、その勢いのまま「再生の道」を立ち上げました。しかし、都議選では自由民主党に並ぶ最多の42人の候補者を擁立したものの議席はゼロ。参院選でも東京選挙区と全国比例区で10人が立候補しましたが、こちらも全敗という結果に終わりました。石丸氏は8月24日にYouTube動画で「代表交代に絡む発表」があるとして、今回の会見を告知していました。

2020年から2024年までの安芸高田市長時代から、記者会見の場で記者と歯に衣着せぬ「バトル」を繰り広げてきたことで知られる石丸氏。退任会見ということもあり厳かなムードで進行すると見られていましたが、今回も「石丸節」が炸裂する展開となりました。

政治団体「再生の道」代表退任会見で、メディアに向けて発言する石丸伸二氏政治団体「再生の道」代表退任会見で、メディアに向けて発言する石丸伸二氏

朝日新聞の記事見出しに異議「“事実”と“印象”は違う」

会見が正式に始まる前、石丸氏は「記者とのコミュニケーションの時間」を設け、朝日新聞の記者を名指しで、最近この記者と連絡を取ることが「後手に回っている」事情を明かしました。そして、同紙が24日に配信した《石丸伸二氏が「再生の道」の代表を辞任へ 都議選と参院選で全敗》という記事のタイトルを記者に読み上げさせ、このタイトルが連絡が「後手に回っている」理由だと説明しました。

石丸氏は続けて、以下のように指摘しました。

「最後の一文(『都議選と参院選で全敗』)、どのような気持ちで付けられた?」

「よくメディアの皆さんは“事実を伝える”と抗弁されます。しかし、同時に印象を与えていますよね」

この指摘を石丸氏は「結婚式の挨拶」を例に取って解説しました。

「新郎の紹介、実は彼、離婚歴がありまして……。事実ですけど、それを言ったとしたら、意図がありますよね。新婦は実は、これまで彼氏が10人いて……。事実ですけど、これを言うところに意味があるんですよね?朝日新聞は、見出しにそういう事実を混ぜていく。そこには、単なる事実だけではなく、評価も加えられていく」

石丸氏は、朝日新聞だけでなく、この傾向が「左寄り」のメディアに見られるとし、「一般的にリベラルは愛と平和をうたう立場かと思うんですが、実態としては、愛だ平和だと叫びながら、憎悪をまき散らしているのが、皆さんじゃないですか?自分たちは“主張しているに過ぎない”“批判を加えているだけだ”と言いながら、他の誰かがやったら“攻撃だ”とダブルスタンダードを使ってくる。おそらく、このやり取りもそのように後で書かれると思って、今お伝えをしています」と強調しました。

日経新聞の「目をつぶった写真」に詰め寄る

5分以上にわたって見出しに対する見解を述べた石丸氏は、次に日本経済新聞の記者に矛先を向け、同紙が25日に配信した《再生の道「代表交代に絡む発表」 石丸伸二氏が27日記者会見》と題した記事で使われた「写真」に言及しました。この写真は、石丸氏が目をつぶった瞬間の横顔を撮影したものでした。

日経新聞の記者が「(写真の選別に)特段の意図はない」と述べると、石丸氏は記者席にスマートフォンの画面を向けながら、「普通に目を開いて正面を向いてる写真、なんぼでもあったと思うんですが、あえてこれを特段の意図なく、日経新聞は出したとおっしゃるんですね?んなわけないでしょ。普通に考えてないですよね。意図なく選んだとしたら、仕事の意識低いですよね」と叱責しました。

続けて、「これを是とされるのなら、今日、動画を撮ってますんで、(日経記者が)たまたまボーっとした瞬間の画像を切り抜いて、サムネで上げておきます。記者会見に対して、“日経新聞の記者、退屈に参加する”事実ですよね」と畳みかけ、「その表情を出した、それを受け取った、それ許されますか?しかもこのくだり(写真)、記者会見の前の別の会じゃないですか。全然違うくだりの時の表情を、わざわざ切り抜いて速報として電子版に載せる、大丈夫ですか?」と詰問しました。

この後、石丸氏は口元を緩めながら、「とりあえず、今回のサムネは(日経記者を)使ってよろしいですね?」と問いかけ、記者は「私は何とも言えません」と返答。すると、石丸氏は態度を若干硬化させ、「やられていい気はしないじゃないですか。ご自身も会社も、敵意を向けられたと思いますよね。でも、向けたのは日経新聞ですよ。どう思われます?報道の中で敵意を向けることについてです」と逆質問しました。

記者からは「いち対象者に対して敵意はないのですが、そのように受け止められたということについては、こちらもしっかり受け止めて今後の取材に生かしていきたいと思います」との回答があり、石丸氏は「承知しました。ぜひとも日経新聞、朝日新聞に限らず、広くメディアの皆さんにいつもお願をしているところです」と述べました。

「辞任」か「退任」か 言葉の定義を巡る議論

ようやく会見が始まる段階に至っても、石丸氏はまず、朝日新聞が先の記事で「辞任」という言葉を用いていたことを指摘しました。石丸氏が「辞任」と「退任」をどのように使い分けているかを問うと、記者は「辞任は、お立場を辞めること。退任は、任期など外部要因も含めて立場が変わること」と発言しました。

これに対し、石丸氏は「退任ではなく、辞任というからには、任期を知っていて辞任と書かれたと思うんですが、ご存じですか?任期、いつですか?」と反応。記者は任期を知らなかったといい、石丸氏は「私は任期について今まで公に言ったことありますよ。昨年の12月、『ReHacQ』というネットメディアでしたが、ライブ配信で吉村大阪府知事との対談で言及しています。新党を作る、代表は早くても選挙の前に、遅くとも選挙が終わったら交代する。出口戦略を決めているんだと言って、立ち上げているんです」と明かしました。

そのほかにも「辞任」と伝えたメディアがありましたが、石丸氏の主張は、選挙の責任を取って「辞める」と言い出したわけではなく、退任はあらかじめ決めていたというものでした。今後、新代表を決める投票が9月15日に行われる予定ですが、石丸氏自身は立候補しないと明言しつつ、政治活動は続けていくと述べました。

会見での「石丸節」に対するSNSの反応

その後は、参院選の総括や、方針は固まっていないものの、都知事選出馬の可能性など、建設的な質疑が行われる場面も見られました。しかし、記者に対して冒頭から石丸氏が詰め寄るような姿勢は、X(旧Twitter)で以下のような疑問の声が上がる要因となりました。

  • 「単刀直入に『朝日に問題があるので連絡を取らなかった』と言えばいいのに、『連絡取れなかったのは何故だと思う?』とネチネチ聴くいやらしさ。パワハラ上司の手口」
  • 「どうしてもどうしても説教したいんだね こじつけでも屁理屈でも説教したいんだ」
  • 「石丸伸二・再生の道の記者会見、開始約10分前から石丸が事前報道を根に持ってネチネチヒートアップ こんなんだから石丸伸二や再生の道の記者会見に中堅以上の記者を送る必要などないのだよ」
  • 「この人(石丸氏)のこの手法、変わらないね。もう飽き飽きですわ」

まとめ

石丸伸二氏の「再生の道」代表退任会見は、単なる選挙結果の報告や今後の政治活動への言及にとどまらず、メディアとの対話の在り方を巡る白熱した議論の場となりました。彼の独特なコミュニケーションスタイルは、一部で賛否を呼ぶものの、その発言は常に注目を集め、今後の政治活動に引き続き関心が寄せられることでしょう。

参考文献

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