厚生労働省は29日、自由診療として提供されていた幹細胞治療を受けていた外国籍の50代女性が治療中に急変し、その後死亡したと発表しました。この事態を受け、同省は治療を実施した東京サイエンスクリニック(東京都中央区)に対し、当該治療の一時停止を命じる緊急命令を発令しました。患者死亡に伴う再生医療安全性確保法に基づく緊急命令は、これが初の事例となります。
厚労省、初の緊急命令を発令
今回の緊急命令は、患者の安全確保を最優先に、再生医療の適正な提供を担保するための極めて重要な措置です。東京都中央区に所在する東京サイエンスクリニックは、本人の脂肪由来の幹細胞を投与する治療を提供していました。また、細胞加工を担っていたコージンバイオ埼玉細胞加工センター(埼玉県坂戸市)に対しても、関連する細胞の製造の一時停止が命じられました。これは、再生医療に携わる医療機関および細胞加工施設の双方に対し、安全管理の徹底を求める強いメッセージとなります。
厚生労働省の建物。自由診療における幹細胞治療中の死亡事例を受け、緊急命令を発令した同省の対応を示す。
治療中の急変から死亡に至る経緯
厚生労働省の報告によると、死亡した女性は今月20日、慢性的な体の痛みの治療を目的として、脂肪由来幹細胞の点滴投与を受けていました。治療中に女性の体調が急激に悪化し、搬送先の病院で死亡が確認されました。この事例に関する報告は、27日になって厚生労働省に寄せられました。クリニック側は、急激なアレルギー反応であるアナフィラキシーショックが死亡原因である可能性を説明しています。しかし、厚生労働省は「経緯を考えると、再生医療との関連が否定できない」との見解を示しており、詳細な経緯の把握と原因究明を急いでいます。
再生医療の安全性確保と今後の課題
今回の不幸な事例は、先進医療である再生医療、特に自由診療領域における安全性確保の重要性を改めて浮き彫りにしました。再生医療は、疾患治療に新たな可能性をもたらす一方で、その安全性と有効性に関する十分な検証が不可欠です。再生医療安全性確保法は、そうしたリスクを管理し、患者を保護するために制定されました。厚生労働省は今後、徹底的な原因究明を進め、同様の医療事故の再発防止策を講じる必要があります。また、自由診療における再生医療に対する国民の信頼を維持するためにも、透明性の高い情報公開と厳格な監視体制の確立が求められます。
この事例は、再生医療を受ける患者が治療内容、リスク、そして法的枠組みについて十分に理解することの重要性も示唆しています。
参考文献
- Yahoo!ニュース / 共同通信社: https://news.yahoo.co.jp/articles/b02abd310006e421e2b7c2bbdb8ace6213addc41