ドイツ当局は2日、ロシアがソーシャルメディアを通じた「使い捨て工作員」の募集により、スパイ活動や破壊工作を実行させようとしているとして、国民に厳しい警告を発しました。ウクライナ侵攻以降の対露緊張の高まりを受け、ドイツ国内では関連する不審な活動が急増しており、当局が新たな脅威に対し警鐘を鳴らしています。
ロシアのスパイ活動、ドイツで急増
ウクライナ侵攻以降、ロシアとの緊張が高まるドイツでは、ロシアに関連するスパイ活動や破壊工作が顕著に増加しています。警察と情報機関の報告によると、これまでに放火、器物損壊、機密性の高い施設上空でのドローン飛行といった複数の事件が発生しています。これらの破壊活動は、訓練を受けていない「使い捨て工作員」によって実行されたとみられており、少額の報酬と引き換えに犯罪行為が行われている実態が浮き彫りになりました。標的とされているのは、主に軍事施設、防衛産業、さらには交通やエネルギーといった重要なインフラです。
ドイツで警戒されるロシアの破壊工作活動に関連し、巨大なロシア国旗を掲げる群衆
巧妙な勧誘手法とその戦略
ドイツ当局は、ロシアのスパイが「ドイツ国内の人々の協力を得て、ドイツの不安定化を図る」ことを目的としていると警告しています。「自分の手を汚す必要がない」この手口は、ロシアのスパイに決定的な優位性を与えるものです。使い捨て工作員の勧誘は通常、ソーシャルメディア上のチャットから「何くわぬ顔で」始まり、少額の報酬を提示して犯罪を促します。このSNSを通じた募集は、サイバー空間での新たな脅威となっています。
民主主義への明確な脅威
対外情報機関、連邦情報局(BND)のブルーノ・カール局長は、外国の情報機関による破壊工作、スパイ活動、プロパガンダ活動が「自由社会の安定を意図的に損なうものだ」と強く警告しました。同局長はさらに、「彼らは欺瞞、脅迫、そして破壊を通じて、われわれの民主主義を攻撃している」と述べ、これらの動きがドイツの安全保障と民主主義体制にとって深刻な脅威であることを強調しています。
ロシアによるSNSを介した「使い捨て工作員」の募集は、ドイツの安定に対する新たな巧妙な脅威です。低いリスクで破壊活動を実行し、民主主義を内部から攻撃するこの手口に対し、ドイツ当局の警鐘は、市民一人ひとりにデジタル空間での警戒と情報リテラシーの重要性を強く訴えかけています。
参考資料
【出典】AFP=時事通信. (2025年9月2日). ドイツ、ロシアが「使い捨て工作員」募集と警告. Yahoo!ニュースより. https://news.yahoo.co.jp/articles/227ffb8beb611437f87a933e315fbe6591655a04