オートロックも油断禁物!身を守るための実践的防犯対策と緊急SOS信号

神戸市のマンションで発生した痛ましい女性殺害事件は、多くの人々に衝撃を与えました。密室となり得るエレベーター空間で、被害者に何の落ち度もないにもかかわらず命が奪われた現実に、「自衛の術はないのか」という絶望の声が上がっています。防災アドバイザーも「被害者に一点の落ち度もないのに殺されてしまった。エレベーターという密室空間で自衛できるポイントなんてない」と嘆くこの事件は、日々の生活における防犯意識の再考を強く促しています。

夜道を警戒しながら歩く女性のイメージ写真。防犯対策の重要性を示す。夜道を警戒しながら歩く女性のイメージ写真。防犯対策の重要性を示す。

オートロックマンションの落とし穴:見えない危険と正しい対策

8月20日に起きた神戸市の事件では、逮捕された谷本将志容疑者と24歳の被害女性には面識がありませんでした。会社帰りの女性をつけ狙った容疑者は、防犯カメラにその姿が捉えられています。自宅マンションまで尾行し、オートロックをすり抜けてエレベーターに乗り込んだところで犯行に及んだとされています。容疑者は過去にも同様の殺人未遂事件を起こし、執行猶予中の身であったことから、再犯のリスク管理の重要性も浮き彫りになりました。

この事件は、女性が身を守るための自衛策の必要性を改めて示しています。特に、オートロックマンションに対する過信は危険であると、元警視庁生活安全課の捜査員は警鐘を鳴らします。「上京したばかりの人が“オートロックだから安全”という思い込みから施錠せずに強盗に入られたり、女性だと暴行されるなどという事件が年間で数十件あります」と語る通り、オートロック設備があるからといって油断は禁物です。オートロックはあくまで入り口での一時的な障壁であり、部外者が侵入する手口は多様化しています。

マンションに住む際は、オートロック物件であっても「必ず施錠する」ことを徹底してください。さらに、玄関には「ドアチェーン」などの補助錠も設置し、二重の防犯対策を講じるのが賢明です。これにより、不審者が侵入しにくい環境を整え、自己防衛力を高めることができます。

エレベーターでの遭遇:不審者を見極め、どう行動すべきか

エレベーターという密室空間で不審な人物と乗り合わせる可能性はゼロではありません。元捜査員は、エレベーターでの防犯対策として最も重要なのは「そもそも一緒に乗らない」ことだと強調します。「不審な人物がいたら1本見送る。譲られた相手は不快に思うでしょうが、それはもう仕方ない。こういう事件が起きてしまったんですから」と、自身の安全を最優先するよう呼びかけます。

もし不審な人物と同じエレベーターに乗り込んでしまった場合は、すぐに緊急停止ボタンや非常呼び出しボタンの位置を確認し、いつでも押せる準備をしておくことが大切です。また、すぐに降りられるようドアの近くに立ち、常に周囲に注意を払いましょう。

尾行されていると感じたら:スマホとコンビニを活用した緊急対応

犯人が被害女性の後をつけてきていたように、背後に不審な気配を感じた場合、どのように対応すべきでしょうか。

携帯電話による「防犯カモフラージュ」

携帯電話は、単なる連絡ツールとしてだけでなく、防犯対策にも有効です。「誰かと通話をする、相手がいなければフリでもいい。本当に通話ができるならビデオ通話で話す」というアドバイスは非常に実践的です。もし何かを企んでいる人物であれば、自分の姿が映り込むことや、第三者との通話によって目撃されることを嫌い、その場から立ち去る可能性が高まります。面倒な手間を避けたいという犯罪者の心理を逆手に取った方法です。

コンビニでの安全確保術

尾行されていると感じた際の対応策として、コンビニエンスストアへの立ち寄りも有効です。「コンビニがあれば寄って、家に人が待っているようなフリをする」のが良いでしょう。この時、「今コンビニだけど何か買っていく?」などとエア通話で声に出すと、よりリアリティが増します。

ただし、注意点として「アイスクリームを買うのは家が近いことがバレてしまうのでオススメしません」とのこと。自宅の場所を特定されないためにも、購入する品物にも配慮が必要です。人目のある場所に入り、自分の状況をアピールすることで、犯罪者はターゲットを諦める傾向にあります。

夜道の危険を回避:スマホライトと「SOSモールス信号」の活用

見通しの悪い夜道で不安を感じることもあるでしょう。特に、一人で歩く際に男性と一緒になってしまった場合など、警戒が必要な状況では「スマホのライト機能を使って振りながら歩くこと」が有効です。光を左右に振ることで、自分の存在を周囲にアピールし、不審者への心理的な牽制にもなります。

さらに、万が一の事態に備えて「モールス信号のSOS」を覚えておくと非常に役立ちます。SOSは「トントントン(短点3回)ツーツーツー(長点3回)トントントン(短点3回)」と表現され、ライトを光らせたままこのリズムで点滅させることで、暗闇でも遠くにいる人に緊急事態を知らせることができます。この視覚的なSOS信号は、声が出せない状況でも助けを求める手段となり得ます。

結び

今回の神戸での事件は、日常の安全に対する認識を新たにするきっかけとなりました。オートロックマンションの過信は避け、施錠の徹底やドアチェーンの設置など、基本的な防犯対策を怠らないことが重要です。エレベーターでの不審者への警戒、尾行されていると感じた際の携帯電話やコンビニを活用した対応、そして夜道でのスマホライトやSOSモールス信号の活用といった実践的な自衛策は、私たち自身の身を守る上で不可欠な知識です。これらの防犯対策を日頃から意識し、安全な生活を送るための行動に繋げていくことが、何よりも大切であると心に留めておきましょう。

参考文献