日米関税交渉の履行要求、赤沢経済再生相が訪米へ:相互関税と自動車関税の是正求める

日本政府は、日米間の関税交渉が終了してから1カ月以上が経過しても、米国政府による実質的な関税引き下げ措置が講じられていない現状を受け、再度米国に代表団を派遣し、合意の履行を強く求める方針を固めました。経済再生相の赤沢亮正氏は4日、訪米を前にした空港での記者会見で、「米国政府が日本製品に対して『相互関税一律15%』を適用し、自動車および自動車部品の関税を15%に引き下げる大統領令を迅速に発令することが必要だ」と述べ、この問題の協議のために長官クラスとして米国を訪問すると表明しました。この日から3日間の日程で米国を訪問する同氏は、今年7月に両国が「合意を誠実かつ迅速に履行する」ことで一致したことに触れ、「両国の経済安全保障の確保と経済成長の実現となる合意の具体化を確実に図りたい」と強調しました。

米国側の約束不履行:日本製品と自動車関税の問題

日本政府は7月23日、米国に対し5500億ドル(約80兆円)規模の投資を行うことなどを条件に、当時トランプ大統領が課すとしていた日本製品への相互関税を25%から15%に、そして自動車品目別関税を半分に引き下げた12.5%(既存の2.5%と合計して15%)とすることで米国と合意しました。しかし、その後トランプ大統領が署名した大統領令には、対日相互関税が「15%一括関税」ではなく、「従来の関税に追加で15%」という形で適用されたことが判明しました。日本政府は「合意された内容と異なる」と抗議しましたが、米国政府はすでに発効された大統領令を1カ月近く修正しないままです。さらに、日米間で日本製自動車および部品に対する関税についても「15%適用」が口頭で合意されていたものの、実質的な措置は未だ講じられていません。

訪米前に記者団の質問に応じる赤沢亮正経済再生相訪米前に記者団の質問に応じる赤沢亮正経済再生相

訪米日程の経緯と経済的影響

赤沢経済再生相は当初、先月28日から30日の日程で訪米する予定でしたが、出国当日に突然日程が取り消された経緯があります。この背景には、日米間の意見の相違が拡大したのではないかとの観測が浮上しました。当時の林義正官房長官は、スケジュールの取り消しについて「米国側との実務的な議論が残っていたため」とし、「実務陣の協議が行われるだろう」と説明していました。今回の訪米に関する質問に対して赤沢経済再生相は、「今回に先立って実務協議が必要な事案が発見されたが、私が訪米することになったのは、こうした問題が片付いたということだ」と述べ、事前調整が完了したことを示唆しました。日本政府は、米国の相互関税に関する大統領令が「一括15%」に修正されれば、約1カ月間にわたり追加で課された関税は還付されることで合意しているとの立場を表明しています。

一方で、自動車関税については依然として「27.5%関税」が適用されており、一部の日本企業は毎日20億円規模の損失を計上するなど、経済的な被害が継続している状況です。

対米投資合意の協議も焦点

今回の赤沢経済再生相の訪米日程では、日本から米国への5500億ドル規模の投資に関する合意文書の作成についても協議が行われる見通しです。日本経済新聞は4日付の報道で、「赤沢経済再生相は5500億ドルの対米投資を巡る日米の共同文書についても協議する」と報じ、この問題も今回の訪米における重要な議題の一つとなることを伝えました。

日米間の貿易・経済関係において、関税問題は両国の安定と成長に不可欠な要素であり、今回の赤沢経済再生相の訪米は、未解決の課題解決に向けた重要な一歩と位置付けられています。日本政府は、米国が早期に合意内容を完全に履行し、日本企業が不当な経済的負担から解放されることを強く望んでいます。


参考文献: