石破茂首相、辞任表明の舞台裏:反石破包囲網と“盟友”小泉進次郎が決定打か

続投に強い意欲を示し、解散総選挙も辞さない構えを見せていた石破茂首相が、ついに退陣を表明した。事実上の信任投票となる自民党総裁選の前倒しが現実味を帯びる中での、まさに瀬戸際の決断だった。この劇的な展開の最終局面で、石破首相に「引導を渡した」とされるのは、かつて盟友関係にあった小泉進次郎農林水産大臣だった。日本の政治情勢を大きく揺るがす石破首相の辞任は、一体どのような背景と要因によってもたらされたのか、その深層を探る。

辞任会見で見せた「スッキリした顔」の裏側

石破茂首相を長年間近で取材し続けてきた政治部記者は、「久しぶりに総理のスッキリした顔を見ました」と語る。約1ヶ月前までは続投へ向け意欲満々だったものの、「反石破包囲網」が日増しに強まるにつれて、その表情からは次第に元気が失われていったという。特に、7月25日に長野県での経済団体連合会(経団連)主催の会合で足を捻挫して以降は、足を引きずり、顔は「脂ぎっていく一方」で、周囲もその心労を察するほどだったという。

9月7日午後6時から始まった退陣会見で、石破首相は「心残りは多々あるが、新しい総裁・総理にその先を託したい」と、いつになく晴れやかな表情で語った。辞任の第一報が午後3時過ぎに報じられた際には、一旦辞任し、次期自民党総裁選に再度立候補するのではないかという観測も一部で囁かれていた。しかし、会見でその可能性を問われた石破氏は、「出馬しません」と明確に否定し、完全に政権の座から退く意思を示した。「最後まで続投したい気持ちはあったのでしょうが、もう心身が限界に達していたように思います」と前出の政治部記者は推察する。

辞任表明後、晴れやかな表情を見せる石破茂首相。長期間の重圧から解放された様子が伺える。辞任表明後、晴れやかな表情を見せる石破茂首相。長期間の重圧から解放された様子が伺える。

続投意欲を挫いた「複合的要因」

あれほど続投に強い意欲を燃やしてきた石破首相を、最終的に観念させた要因は一体何だったのか。政治部デスクは「複合的な要因で、もはや打つ手がなかった」と分析する。

党内の「石破おろし」包囲網の激化

最も大きな要因として挙げられるのは、当初の予想を上回る速さで党内の「石破おろし」の風が強まり、自民党総裁選の前倒しが可決される可能性が極めて高まっていたことだ。地方票の動向を見ると、全国47都道府県のうち25県連が前倒しに賛成していると報じられていた。さらに、政権を支える副大臣と政務官47人中、実に30人以上が前倒し賛成の意向を示していたことも、ボディーブローのように石破首相を追い詰める形となった。

森山幹事長との意思疎通の課題

政権運営の要である幹事長として石破首相を支えてきた森山裕氏との意思疎通にも、課題が生じていたと指摘されている。「最近、森山さんは周囲に『石破さんは何を考えているかわからない』とこぼすようになっていました」と政治部デスクは語り、首相と党幹部との信頼関係に亀裂が生じていた可能性を示唆する。

「解散カード」の封じ込め

石破首相にとっての最後の切り札と目されていた「解散カード」も、その有効性を失いつつあった。9月5日、鈴木馨祐法務大臣が石破首相と会談し、総裁選挙の実施に賛成する意向を明確に示したからだ。法務大臣は解散総選挙に関する閣議決定に署名する重要な役割を担っており、もし鈴木氏が署名を拒否した場合、石破首相は鈴木氏を罷免し、新たな法相を任命するという大きな政治的リスクを冒さなければならなかった。「この状況では、解散に踏み切ることは極めて困難だったでしょう」と政治部デスクは付け加える。

石破茂首相の辞任は、これらの多岐にわたる複合的な要因が絡み合い、もはや続投の道が完全に閉ざされた結果と言える。党内の求心力低下、主要閣僚との連携不破、そして最後の手段である解散カードの無効化が、長きにわたる政治家としてのキャリアを持つ石破氏を、最終的な決断へと導いたのだ。

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