NHK党の「ぶっ壊す」戦略の陰で:受信料不払い運動の現実と支持者への影響

NHK党の「ぶっ壊す」戦略の陰で:受信料不払い運動の現実と支持者への影響「NHKをぶっ壊す!」を掲げ演説するNHK党党首・立花孝志氏「NHKをぶっ壊す!」を掲げ演説するNHK党党首・立花孝志氏

「N国が一番の受信料集金人になっちゃいましたね(笑)」――選挙ウォッチャーであり、立花孝志氏の活動を注視するちだい氏が、現在の『NHKから国民を守る党』(通称:NHK党)の状況を評します。「NHKをぶっ壊す!」というスローガンで知られる立花党首ですが、その活動の裏で、党の推奨する受信料不払い戦略に賛同した人々が、次々とNHKから訴訟を起こされ、厳しい現実に直面しています。

「NHKをぶっ壊す!」の旗手、立花氏が募金を呼びかける背景

立花孝志氏のYouTubeチャンネルでは、普段の勇ましい発言とは異なる、ある女性のための「募金」呼びかけ動画が7月30日に投稿されました。この女性は、受信料を滞納した結果、昨年NHKから未払い受信料の請求訴訟を起こされ、裁判費用を含め最終的に5万5000円の支払いを命じられた上に、強制執行を受けたという状況にありました。深刻な困窮を訴え、『NHK党』に相談したことを受け、立花氏は彼女を救済するために寄付を募ったのです。このケースは、同党の掲げるスローガンとは裏腹に、支持者が直面する現実の一端を示しています。

NHK党が推奨する「受信料不払い」の戦略とその理由

党名が幾度となく変わる中でも、「NHKをぶっ壊す!」というスローガンは変わらないNHK党。同党が推進する「政策」の根幹は、『受信料の不払い』です。党の公式ウェブサイトには、「支払わないためのHow to 一覧」と題し、受信料不払いの具体的な手順がチャート形式で掲載されています。

同党が特に推奨しているのは、「NHKと契約しつつ、受信料を支払わない」という方法です。この戦略には二つの主要な理由があるとされています。一つは、放送法64条により「契約は義務」であるため、契約自体をしないと法律違反となるリスクがあること。もう一つは、NHKから裁判を起こされた場合、「未契約者」ではテレビ設置日からの受信料全額が請求されるのに対し、「契約済み者」は時効が適用され、直近5年分の請求に限定されるためです。また、未契約の場合には「割増金」が加算される可能性もあり、テレビ等を設置している人が未契約のままでいることは、圧倒的にリスクが高いと強調されています。

現実と直面する支持者たち:相次ぐNHKからの提訴

しかし、NHK党のホームページ上でも示唆されている通り、状況によっては受信料の不払いを継続することは困難を極めます。実際、同党の戦略に賛同し、受信料の不払いを続けていた多くの人々が、現在、次々とNHKから提訴されている状況が明らかになっています。そのため、『NHK党』への相談件数も増加しており、上記女性の事例以外にも、同様の寄付を募る動画が複数確認されています。党の掲げる理想と、支持者が直面する厳しい現実との乖離が浮き彫りになってきているのです。

結論

『NHK党』による「NHKをぶっ壊す!」というスローガンと受信料不払い運動は、多くの人々の共感を呼んできました。しかし、その戦略は、支持者がNHKからの訴訟や強制執行といった法的なリスクに直面するという厳しい現実を伴っています。立花孝志氏が支援のために募金を呼びかける状況は、受信料問題の複雑さと、党の推奨する戦略が常に万能ではないことを示しています。今後、NHK党がこの課題にどのように向き合い、支持者を守っていくのか、その動向が注目されます。

参考文献