自民党と日本維新の会、連立に向けた政策協議が本格化:政権入りの展望と党内動向

自民党と日本維新の会が、次期連立政権樹立を視野に入れた政策協議を本格的に開始しました。両党間では大筋での合意形成が見込まれており、10月16日に開催された維新の両院議員総会では、既に政権入りが決定したかのような高揚感が党内を包んでいたと報じられています。

維新内部に高まる連立政権への期待と大臣ポストへの意欲

維新の衆院議員A氏は、総会の様子について「大半の議員が連立に歓迎ムードだった。党内では、大臣ポストを得て閣内協力で進める方向だと聞いている」と語り、自然と笑みがこぼれる様子で「自分も政務官くらいにはなれるかな」と期待を覗かせました。日本維新の会の藤田文武共同代表は、テレビ東京のインタビューにおいて、自民党の高市早苗総裁から、連立政権発足時には維新に少なくとも2つの大臣ポストを用意する意向が示されたことを明かしています。A氏は、維新が特に求めるのは「副首都構想」の推進を考慮した総務大臣ポストであり、大臣候補の最有力として馬場伸幸前代表の名前が挙がっていると述べました。

自民党と日本維新の会の政策協議の様子。高市早苗総裁と藤田文武共同代表が対談自民党と日本維新の会の政策協議の様子。高市早苗総裁と藤田文武共同代表が対談

批判と共存:自民党と維新の複雑な関係性

一方で、維新内部には「本当に自民党とうまくやっていけるのか。閣外協力などで一歩引くべきではないか」といった慎重な意見も存在します。かつて維新代表の吉村洋文大阪府知事は、選挙演説で「自民党の裏金政治は本当におかしい。腹立たしくてしょうがない」と厳しく批判し、「維新が与党入りしたら、消滅してしまう」と発言したこともあります。

維新は選挙の場で自民党と対峙し、政権を強く批判してきましたが、そのルーツを辿れば両党には近い関係があるのも事実です。維新の創設者である橋下徹氏が2008年に大阪府知事に当選した際には、自民党大阪府連が推薦していました。橋下氏と共に維新を創設した松井一郎氏も、元自民党の大阪府議です。維新の始まりは、2010年に橋下氏を支持する府議ら自民党地方議員が立ち上げた「大阪維新の会」であり、現在も維新のベテラン議員の中には自民党から転身した人々が少なくありません。

「副首都構想」と「社会保障改革」:維新の“絶対条件”と自民党の反応

日本維新の会は、自民党との政策協議に際して12項目の要望事項を提出しています。吉村代表は10月16日午後に複数のテレビニュース番組に出演し、「非常に幅広い分野を協議しており、最終的にすべてが合致するわけではありません。我々が納得できる協議となるかが重要です」と説明しました。

特に吉村氏が「絶対条件」として強調したのは、「副首都構想」と「社会保障改革」の2点です。維新の大阪選出衆院議員B氏によると、自民党はこれらの2条件を受け入れる見込みだといいます。「来年の通常国会で『副首都構想』が実現できれば問題ないという時間軸で動いています。社会保障改革はその次で、この2点以外は自民党と意見を戦わせながら進めることになるでしょう。吉村代表は副首都の場所として大阪が最適とも述べており、維新が住民投票で2度敗れた『大阪都構想』が実質的に実現する形になる可能性があります」。

突如浮上した「議員定数削減」:吉村代表の戦略的揺さぶりか

しかし、吉村代表は16日夜から17日朝にかけてテレビ番組に出演した際、突如として12項目の最後の「政治改革」の一つに挙げられている「国会議員の議員定数削減」を強く主張し始めました。「議員定数削減は臨時国会で結論を出すべきであり、これを自民党が受け入れなければ連立入りはない」とまで発言しました。議員定数削減は、これまで野党が要求しても自民党が応じてこなかった難度の高い要求事項であり、この点に強くこだわることで両党間の協議が停滞する可能性も指摘されています。

この吉村代表の突然の主張について、前述の衆院議員B氏は、吉村氏が自民党を揺さぶっていると見ています。「副首都構想ばかり主張すると、『大阪だけの維新』というイメージになりかねないので、突然持ち出してきたのではないでしょうか。吉村代表もそこまでこだわってはいないと思います。しかし、自民党は驚いたことでしょう。吉村代表が東京の主要テレビ局を席巻するほど出演して、いきなり議員定数削減を言い出したのですから」。

参照元