陸上自衛隊、パワハラ陸将「ハカイダー」が幹部教育機関の要職に就任 – 内部から疑義の声

陸上自衛隊内で「ハカイダー」の異名で知られる陸将・戒田重雄氏(56)が、陸自の次世代幹部を養成する要衝、「陸上自衛隊教育訓練研究本部」の本部長に就任したことが波紋を呼んでいます。かねてよりパワハラ気質が指摘されてきた同氏のトップ人事に対し、自衛隊内部からは疑義の声が上がっており、その背景には過去の具体的なパワハラ事例が挙げられています。

「ハカイダー」の異名を持つ陸将・戒田重雄氏

自衛隊内において、パワハラの話題は決して珍しくありませんが、戒田重雄氏に関する逸話はその中でも際立って苛烈であるとされています。56歳の戒田氏は、陸上自衛隊の精鋭部隊である「第1空挺団」の元団長を務めていました。当時からそのパワハラ気質は陸自内で周知の事実であり、部下を精神的に追い詰めることから「ハカイダー」という不名誉なニックネームで呼ばれるようになったと報じられています。今回のトップ人事はこの過去の評判と矛盾するものであり、多くの関係者を驚かせています。

「ハカイダー」の異名を持つ陸将・戒田重雄氏。パワハラ疑惑が指摘されている。「ハカイダー」の異名を持つ陸将・戒田重雄氏。パワハラ疑惑が指摘されている。

陸上自衛隊教育訓練研究本部とは:エリート育成の要衝

JR恵比寿駅から徒歩圏内にある防衛省目黒地区には、艦艇装備研究所や陸海空自衛隊の教育機関など、自衛隊にとって重要な施設が集中しています。中でも「陸上自衛隊教育訓練研究本部」は、2018年に陸上自衛隊幹部学校と研究本部が統合されて誕生した、陸自唯一のシンクタンクであり、幹部育成の中核を担う機関です。

防衛問題研究家の桜林美佐氏は、この機関の重要性について次のように述べています。「ウクライナ侵攻を見れば明らかなように、AIやドローンといった新技術の登場により、現代の戦術は目まぐるしく変化しています。最新の装備や戦い方を研究する機関と、幹部を育成する機関が密接に連携しなければ、時代に取り残されてしまうでしょう。両者を合併し、同盟国や民間とも技術や情報を共有する目的で設立されたのが、この教育訓練研究本部なのです」。同本部では、幹部自衛官がさらに上級のポストに進むためのカリキュラムも用意されており、まさに次世代のリーダーを育成する要ともいえる場所なのです。

物議を醸すトップ人事:過去のパワハラ報道と内部の驚き

このような極めて重要な機関のトップ人事が、目下、物議を醸しています。防衛省担当記者は、今年8月に教育訓練研究本部長に就任した戒田重雄氏について、「目に余るほどのパワハラ気質で以前から有名だった」と語っています。第1空挺団長を務めていた2020年頃には、「文春オンライン」で、隊員の貯蓄にまで口出ししたり、無意味な長時間労働を強いたりするパワハラ行為が報じられた過去があります。部下を精神的に追い詰めることから「ハカイダー」の異名をとる人物であるだけに、今回のトップ人事には各所で驚きと疑問の声が上がっています。エリートを育成すべき機関のリーダーに、パワハラ疑惑が絶えない人物が就任したことに、多くの関係者が困惑を隠せない状況です。

今回の陸上自衛隊のトップ人事は、組織の透明性やガバナンス、そしてパワハラ問題に対する姿勢に大きな疑問符を投げかけています。次世代の幹部を育成する上で、リーダーの資質は極めて重要であり、今回の任命が自衛隊の未来にどのような影響を与えるのか、今後の動向が注目されます。

参考文献

  • 週刊新潮 2025年10月16日号 特集記事「陸上自衛隊の不可解人事 ニックネームはハカイダー “幹部”教育機関トップに出世したパワハラ陸将」
  • 文春オンライン (過去の戒田重雄氏に関するパワハラ報道)
  • Yahoo!ニュース (元記事: 陸自「ハカイダー」陸将がエリート機関トップに昇格 パワハラ疑惑と不可解人事)