静岡県伊東市では、市議会議員選挙の閉幕と共に、田久保眞紀市長の退場へのカウントダウンが始まりました。10月31日に開催が予定されている臨時市議会で、二度目の不信任決議案が可決されれば、田久保市長はその日に失職する見通しです。しかし、これで全てが終わるわけではありません。関係者からは、田久保氏が“ゾンビ復活”する可能性が依然として残されているとの指摘があり、伊東市政の動向に注目が集まっています。
市民と職員の苦悩、そして議会の動き
市議選の翌日である20日、伊東市役所には再び苦情の電話が鳴り始めました。前夜の全国放送番組「Mr.サンデー」(フジテレビ)に田久保氏が生出演し、偽造の卒業証書について「私にとっては本物」と発言したことが原因です。しかし、市職員たちは「もう少しだから頑張ろう」と互いに励まし合い、職場には少しずつ笑顔が戻りつつあるといいます。19日に投開票が行われた市議選では、田久保氏への不信任決議に賛成した前職18人全員と、新たに2人の新人市議が当選しました。一方で、田久保氏を支持する立場から当選したのは、新人で元新潟県阿賀野市議の片桐基至氏ただ一人という結果でした。
伊東市の田久保眞紀市長。不信任決議案可決で失職予定ながら、次期市長選での「復活」の可能性も取り沙汰されている
不信任決議後も変わらぬ田久保市長の態度
選挙結果にもかかわらず、田久保氏は敗北を認める様子を見せていません。20日に行われた当選証書付与式に来賓として出席した際も、まるで入学式に臨む校長先生のような余裕の笑みを浮かべていました。そして、当選した議員たちの前で「今、伊東市はたくさんの課題を抱えておりまして、本日も私の元にたくさんの市民の方から直接のご意見、ご要望が寄せられております。活発な議論、たくさんの政策提言をいただいて、どうかこの伊東市の発展のために新しい議会で尽力いただければと思っております。本日は誠におめでとうございます」と述べました。
これに対し、拍手したのは片桐氏のみで、他の議員たちは怒りを露わにしながら聞いていたといいます。青木敬博前副議長は「何がおめでとうございますだと思いましたよ。結局、彼女が居座りを決め、大義なき解散に踏み切ったおかげで6300万円もの無駄な税金が費やされることになった。いったい自分のウソのためにどれだけのお金や時間の無駄を市民に強いたと思っているのか。何よりも問題だったのはこの間、市政が止まってしまったこと。そして市職員たちにも要らぬ苦労をかけました」と振り返り、田久保氏の言動が市民に与えた負担と市政の停滞に対する強い憤りを表明しました。
出直し市長選の行方と「まさかの展開」
田久保氏の訓示は、敗者の強がりとしか聞こえないかもしれません。31日には不信任決議案が再度可決され、市役所を去ることになるからです。しかし、伊東市政に詳しい関係者は「まだ油断するのは早いですよ」と警鐘を鳴らします。田久保氏は出直し市長選への出馬が濃厚視されていますが、「まさかの展開があるかもしれない」と指摘しています。
関係者によると、「前回の市長選は、田久保市長と小野達也前市長の一騎打ちでしたが、次の市長選には田久保氏を含めると、6人もの候補者の名が挙がっています。反田久保票が割れて混戦となった場合、田久保氏が当選しかねない可能性があります」とのこと。複数の候補者が乱立し、反田久保票が分散することで、少ない得票数でも田久保氏が再選を果たすというシナリオが現実味を帯びているのです。
伊東市の政治情勢は、田久保市長の失職後も引き続き流動的であり、出直し市長選の結果が市にとって極めて重要な意味を持つことは間違いありません。市民の税金が無駄に使われ、市政が停滞した現状から、どのようにして伊東市が再生の道を歩むのか、今後の動向が注目されます。