ジャーナリストの田原総一朗氏が、高市早苗氏への不適切発言を巡る一連の謝罪対応で、かえって世間の反発を招いている。2025年10月26日に自身のX(旧Twitter)で投稿された謝罪動画は「心がこもっていない」と批判が殺到し、結果として長寿番組であった『激論!クロスファイア』の打ち切りが決定。田原氏の信頼回復に向けた道のりは険しさを増している。
発言の経緯と炎上の始まり
事の発端は、10月19日にBS朝日で放送された『激論!クロスファイア』での出来事だ。番組内で、選択的夫婦別姓に否定的な高市早苗氏を批判していたゲストの辻元清美氏、福島瑞穂氏に対し、田原氏は「『あんなやつ』は死んでしまえと言えばいい」と発言した。この極めて不適切な言葉は即座に炎上を招き、大きな波紋を呼んだ。当初、田原氏の事務所は「発言は高市氏への批判ではなく、野党への檄を飛ばす意味合いだった」と弁明したが、この初期対応が不十分であったことが、その後の混乱を招く一因となった。
続く謝罪の試みと世間の反応
事務所による釈明後、田原氏はX上でテキスト形式での謝罪文を投稿した。「発言の主旨は、野党に檄を飛ばそうとしたものでしたが、きわめて不適切な表現となり、深く反省しております。本当に申し訳ございませんでした」という内容だったが、これには約1万2000件もの批判コメントが殺到。形式的な謝罪と受け取られ、火に油を注ぐ結果となった。
事態を重く見た田原氏は、10月26日、カメラの前に立って20秒間の謝罪動画をXにアップロードした。ノーネクタイでやや乱れたスーツ姿の田原氏は、おぼつかない口調で「先週放送の『激論!クロスファイア』で不適切な発言をしたことを謝罪いたします。高市総理、そして視聴者の皆様、関係者の皆様、本当に申し訳ありませんでした」と述べ、頭を下げた。
ジャーナリスト田原総一朗氏、Xに投稿した謝罪動画での表情
しかし、この動画に対する世間の評価はさらに厳しかった。「失言回避の形式主義にしか映らない」「全然心がこもってない」「ジャーナリストなら自分の言葉で話せよ。カンペ棒読みやんけ」といった厳しい意見がX上で飛び交い、動画投稿後も3000件以上の批判コメントが寄せられる事態となった。動画中、田原氏の目線が終始下を向いており、カメラに目を合わせたのはわずか数秒であったことも、視聴者に「心がこもっていない」という印象を与えたようだ。
「激論!クロスファイア」打ち切りと今後の課題
一連の騒動を受け、10月24日にはBS朝日の臨時取締役会が開催され、田原氏の発言は「モラルを逸脱している」と判断された。その結果、10月19日の放送を最後に『激論!クロスファイア』の打ち切りが決定。長年にわたり放送されてきた人気番組が、一つの不適切発言とそれに続く謝罪対応のまずさによって幕を閉じることとなった。
今回の炎上は、事務所サイドの危機管理の甘さも指摘されている。過激な言葉遣いは田原氏の「持ち味」と捉えられていた側面もあったかもしれないが、現代のソーシャルメディア社会においては、その発言の受け取られ方、そして謝罪の仕方が、個人の信頼だけでなく、番組やメディア全体の信頼性にも直結することを改めて示した事例と言える。田原氏のXプロフィール概要欄には依然として『激論!クロスファイア』が担当番組として記載されたままであり、ジャーナリストとしての信頼回復は容易ではないだろう。
出典
- Yahoo!ニュース / Smart FLASH
- BS朝日 激論!クロスファイア 放送関連情報





