秋田県で深刻化するクマ被害に対し、10月28日、自衛隊派遣の要請が正式に決定。しかし、その役割は後方支援が主であり、抜本的な対策となるか疑問視されています。公表データは、クマの個体数と生息域が日本全国で驚くべき速さで増加している実態を浮き彫りにしています。
自衛隊派遣は緊急的措置か?増え続けるクマ個体数の背景
自衛隊によるクマ対策は朗報ですが、役割は緊急的な対症療法に留まり、殺傷は想定されず後方支援が中心です。犠牲者を増やさないには抜本的対策が不可欠。データは、クマが放置されれば自然に増えることを示唆します。ヒグマは2〜3年おきに1〜4頭、ツキノワグマも数年おきに1〜2頭の子を出産し、年間約20%の繁殖力を持つと研究されており、その増殖スピードは看過できません。
都道府県別クマ個体数の実態:宮城県の驚異的増加率
クマの個体数を見ると、北海道のヒグマは1991年の約5514頭から2023年末には約1万1661頭へと約2.1倍に増加(年間約2.4%増)。本州のツキノワグマでは、岩手県が2016年度の約3400頭から2020年度で約3700頭へ増加(年間平均約2.1%増)。特筆すべきは宮城県で、2008年度の633頭が2020年度には3147頭へと激増。年間平均約14.3%もの驚異的な増加率を示しています。
全国に広がるクマの生息域:拡大と縮小の現状
クマの生息域も変化しています。環境省データでは、ヒグマの分布域は15年間で約1.3倍に拡大。ツキノワグマの分布域も本州・四国の33都府県で約1.4倍に拡大しました。ただし、四国では縮小傾向、九州では絶滅が確認されています。広範囲での生息域拡大は、人間社会との接点増加を意味し、新たな課題を提起します。
日本全国のクマ生息・出没域の拡大状況を示す地図
自衛隊派遣は一時的な効果が期待されますが、データが示すクマ個体数と生息域の驚異的な増加は、抜本的対策の必要性を強く訴えかけます。特に宮城県の個体数急増や全国的な生息域拡大は看過できません。住民の安全と共存のためには、効果的な駆除を含めた、より積極的かつ持続可能なクマ対策の議論が急務です。
引用元
- 北海道、岩手県、宮城県 各クマ保護管理計画データ
- 環境省「クマ類の分布メッシュ増減率」
- DIAMOND online (Yahoo!ニュース記事より)




