早朝、目覚めたら枕元に凶器を持った男が立ち、「マネープリーズ(金をくれ)」と脅迫されたとしたら、その恐怖はいかばかりか想像に難くないだろう。2023年11月10日の朝、東京・新宿区で20代女性が自宅マンションに侵入され、現金約2万3000円を奪われるという戦慄の強盗事件が発生した。この事件は、日々の生活における防犯意識の重要性を改めて浮き彫りにしている。
1月10日に送検される桝田容疑者。マンション2階にある女性の部屋に侵入し、強盗を働いた容疑で逮捕された
1. 早朝の悲劇:マンション2階で起きた強盗侵入事件
事件は10月10日午前5時40分ごろ、新宿区内のマンション2階の一室で発生した。住人の20代女性が目覚めると、凶器のようなものを持った男が枕元に立っており、現金約2万3000円を奪われたという。女性は被害直後に自ら110番通報し、幸いにも怪我はなかった。被害女性と容疑者の間に面識はなかったとみられている。
2. 容疑者の逮捕と捜査状況
警視庁国際犯罪対策課は、この強盗と住居侵入の疑いで職業不詳の桝田アシュラフ大也容疑者(24)を逮捕した。桝田容疑者は背中まで届くドレッドヘアの長髪で、細身ながら身長190cmはある長身の男だ。捜査によると、容疑者はマンション1階のゴミ集積所から2階ベランダに上がり、無施錠の窓から室内に侵入したとみられている。
防犯カメラには、事件の数時間前から桝田容疑者が現場周辺を徘徊する姿が映っており、警視庁は計画的犯行とみて捜査を進めている。また、犯行後には衣服を着替えて逃走していた形跡も確認されているという。取り調べに対し、桝田容疑者は「身に覚えがありません」と容疑を否認しているが、警視庁は余罪の可能性も視野に入れ、慎重に捜査を進めている状況だ。
3. 高まる住居侵入リスク:防犯専門家からの警告
今回の事件では、マンションの2階という比較的安全と思われがちなフロアが無施錠の窓を狙われた。防犯アドバイザーの松丸俊彦氏は、「マンションの2階以上に住む人も、『1階じゃなければ大丈夫だろう』という安心感から窓を開けたままにしがちですが、そこを狙う強盗や空き巣もいます」と警鐘を鳴らす。2階や3階程度の高さであれば、少し離れた場所からでも窓が無施錠であることがわかってしまうケースもあるという。
鍵の重要性と防犯フィルムの効果
松丸氏はまず、何よりも「鍵をしっかりかけること」が最も重要だと強調する。さらに有効な対策として、「防犯フィルム」の利用を推奨している。防犯フィルムを窓に貼ることで、窓を割るのに時間がかかり、侵入を遅らせることが可能だ。窓を割ろうとすると、クモの巣状のヒビが入り、大きな音が発生するため、犯人は侵入を諦めやすい。警察庁の統計でも、侵入に5分かかると、侵入者の7割が諦めるというデータがある。
補助錠の賢い活用法
もう一つの有効な防犯策として「補助錠」が挙げられる。昼間に換気のために窓を開けておきたい場合や、子供がいる家庭などにも有効だ。引き戸タイプの窓や戸に後付けで設置できるもので、ホームセンターなどで手軽に購入できる。補助錠を設置することで、不審者が侵入できない程度の一定幅で窓や戸が開かなくなるように設定できる。強い力を加えれば開く可能性はあるが、無理に開けようとすれば音が出るため、早期に異変に気づくことができる。
補助錠を設置する際の重要なポイントは、なるべく窓の上部に取り付けることだと松丸氏は指摘する。下部に設置すると、しゃがんで解除しようとすることも考えられるが、上部に設置すれば背伸びをしないと解除できないため開けにくく、不審者の行動も目立ちやすくなる。防犯フィルムと補助錠を組み合わせることで、より強固な防犯対策が期待できるだろう。
4. 現代社会における防犯意識の向上
かつては夏の暑い時期などに1階の窓を開けたまま眠るのが当たり前だった時代もあるが、現代では厳重な防犯対策を施さなければ安心して眠ることすら難しい時代となってしまった。今回の新宿での強盗事件は、住居侵入のリスクが身近にあることを再認識させるとともに、私たち一人ひとりが日頃から防犯意識を高め、適切な対策を講じることの重要性を強く訴えかけている。
参考情報:
- FRIDAYデジタル
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