高市早苗内閣が10月下旬に発足して以来、その支持率は軒並み高く、永田町では早期の衆院解散が活発に議論されています。特に、来年3月頃の予算成立後にも解散があるのではないかとの見方も出ており、自民党が単独過半数を奪還する可能性に期待が高まっています。この動きは、日本の政治情勢に大きな影響を与えるものとして注目されています。
高支持率の背景と永田町の解散ムード
報道各社の世論調査結果によると、高市内閣の支持率は歴代内閣の中でも上位に位置しており、国民からの一定の期待を集めていることがうかがえます。政治部デスクは、「高市内閣の支持率はこれまでと比べて上から数えて3番目や5番目など、かなり上位に位置しています」と指摘しています。この高い支持率を背景に、永田町では「自民党で単独過半数の奪還」を目標とした早期衆院解散論が加速しています。選挙を好む政治家が多いことも相まって、予算成立後の解散は「あり得る」との見方が広まっています。
高市早苗首相、内閣支持率に関する報道
自民党勢の停滞と解散への懸念
一方で、早期解散論には慎重な見方も存在します。現在の解散論は官邸内から発信されたものではないため、ある種無責任な側面があるとの指摘です。26年にわたった自公連立が解消された場合、公明党や創価学会の票がどうなるのかという問題は依然として不透明です。また、ここ1年余りで国政選挙が3度目となることに国民の理解が得られるのか、さらには内閣支持率ほど自民党の政党支持率が回復していないといった課題も山積しています。
11月9日に投開票された東京・葛飾区議選の結果は、自民党の政党支持率への不安を可視化する形となりました。自民党は17人の候補者を擁立しましたが、当選は10人に留まり、前回から2議席減らしました。石破茂政権下で行われた今年7月の参院選(葛飾区での比例票)と比較すると得票数は増えているものの、2022年の参院選での得票数と比べると大幅に減少しています。「党勢の停滞は明らかで深刻」という分析は党内で共有されており、高市首相自身も自身のブームとは裏腹の自民党の不人気という現実を冷静に見ているはずです。
高市首相の慎重な姿勢と決断の足かせ
高市首相自身の考えも、早期解散論に慎重な姿勢を示しています。憲政史上初の女性首相としてガラスの天井を打ち破った達成感は当然あるものの、短期で政権を終わらせたくないという思いが強いのは自然なことです。しかし、首相は体調を気にしており、「このままでは壊れる」という周囲からの心配の声も上がっています(関連記事:《高市首相「熱いシャワーかお湯につかる」のが朝のルーティン 「このままでは壊れる」の心配の声も》)。年齢を重ねれば、それだけ重責を担うことが難しくなるとの自覚も強く持っているようです。
高い内閣支持率を背景に政権の求心力を高めるため、何らかの大義を掲げて衆院解散に打って出る可能性も考えられますが、現時点では「政党支持率が停滞を脱しきれておらず、上昇の目がない」ことが決断の足かせとなっています。政治部デスクは、「自民単独過半数の奪還が確実でないなら解散に踏み切る動機としては弱い」と見ており、首相が冷静に状況を分析し、政権運営の安定を最優先していることがうかがえます。
高市内閣の高い支持率は国民からの期待の表れである一方で、自民党が抱える構造的な問題や、連立解消後の票の行方、国民の選挙疲れといった現実的な課題が、早期衆院解散の判断をより複雑にしています。首相は自身の体調や年齢も考慮しつつ、慎重に政局の行方を見極めていると言えるでしょう。





