2025年11月21日、2027年度前期のNHK連続テレビ小説『巡(まわ)るスワン』の脚本を、人気お笑い芸人のバカリズム氏が手掛けることが発表され、各方面で大きな驚きと期待の声が広がっています。この異例の抜擢は、彼の長年にわたる脚本家としての実績と独自の視点が評価された結果と言えるでしょう。ソーシャルメディア上では「ついに朝ドラまで上り詰めた」といった感慨深いコメントが多数寄せられています。
バカリズム氏と『巡るスワン』:異例の朝ドラ脚本家誕生
ヒロインを森田望智さんが演じる『巡るスワン』は、長野県・諏訪湖周辺をイメージした架空の街「佐和市」を舞台に展開されます。物語の中心となるのは、生活安全課に配属された女性警察官。特に注目すべきは、「何も起こらない日常」を描くヒューマンコメディである点です。バカリズム氏は会見で、「事件が起きない部署だからこそ魅力を感じた」と語り、ごく普通の日常を丁寧に描くことへの深い意欲を示しました。お笑い芸人が朝ドラの脚本を務めるのは極めて珍しいことですが、彼のこれまでのキャリアを振り返ると、今回の抜擢はまさに「必然」であったと言えます。
NHK朝ドラ「巡るスワン」の脚本を担当するバカリズム氏
唯一無二のキャリアパス:芸人から脚本家への道のり
バカリズム氏の脚本家としての才能は、以前から高く評価されてきました。2014年には竹野内豊主演のフジテレビ系ドラマ『素敵な選TAXI』で連続ドラマの脚本に初挑戦。さらに、2017年放送の日本テレビ系深夜ドラマ『架空OL日記』では、原作・脚本・主演の三役をこなし、その優れた脚本が「第36回向田邦子賞」を受賞する快挙を成し遂げました。淡々とした日常の中から物語を紡ぎ出し、そこに独自の笑いを加える手腕は、早くから業界内外で絶賛されていました。
今回のNHK朝ドラへの抜擢には、ある種の「前哨戦」がありました。2018年から2019年にかけて、日本テレビ系『ZIP!』内で放送された7分ドラマ『生田家の朝』、そしてそれに続く『緑山家の朝』です。これらは「民放版の朝ドラ」として大きな評判を呼び、バカリズム氏が「何も起きない朝」を魅力的なドラマへと昇華させる力量を世に知らしめるきっかけとなりました。
さらに、視聴率の面でもその実力を証明しています。2023年に放送された日本テレビ系ドラマ『ブラッシュアップライフ』では、脚本と出演を兼任。平凡な女性の“タイムリープ人生”を描いたこの作品は、Hulu年間視聴数で総合1位を記録する大ヒットとなりました。深夜ドラマから民放の朝ドラ、そしてついにNHK連続テレビ小説へと、バカリズム氏は脚本家として着実に頂点へと到達しました。
朝ドラ脚本家としての新たな挑戦と高まる期待
このニュースに対し、Xでは「とうとう本家の朝ドラの脚本家にバカリズムが」「まさか本家NHK朝ドラも担当するとは!!」といった驚きと喜びの声が溢れています。テレビ制作会社のスタッフも、「日常を面白く仕立てられる書き手は多くありません。地味な現場を朝ドラにできるのは、バカリズムさんしかいないのではないでしょうか」と、彼の唯一無二の才能に太鼓判を押しています。
バカリズム氏自身も会見で、「毎朝、ちょっと笑って1日を始められる作品に」と抱負を語っており、その言葉通り、視聴者の朝にささやかな笑いと温かさを届けてくれることでしょう。毎朝15分、彼がどのような「何も起こらない日常」を描き出すのか、その放送が今から待ち望まれます。





