2023年に登場した後発SNS「Threads(スレッズ)」で、「フルネームおじさん」という言葉がしばしば見受けられます。これは、いわゆる「クソリプ」(投稿者の意図を理解しない、あるいは嫌がらせ目的のリプライ)を送るユーザーが、フルネームを名乗る男性であるケースが多いというユーザー間の観察から生まれたものです。実際に、不適切な絡み方をする「フルネームおじさん」は多くのユーザーに認識されており、なぜ彼らが嫌悪され、なぜフルネームを使用するのか、その背景を深く掘り下げて考察します。
SNSにおける迷惑ユーザーの傾向とThreadsの特性
SNSにおいて迷惑行為やトラブルはつきものですが、その傾向はプラットフォームごとに微妙に異なります。X(旧Twitter)やFacebookでもユーザー間のいざこざは頻繁に発生しますが、スレッズでは比較的短期間で「フルネームおじさん」という特定のタイプの迷惑ユーザーが認識されるようになりました。スレッズのユーザーたちは、クソリプの発信元を調べていくうちに、フルネームを設定しているアカウントが多いことに気づき、次第に「フルネームおじさんには注意すべきだ」という空気が形成されました。現在では「これだからフルネームおじさんは」と、半ばネタとして使われるほど浸透しています。
スマートフォンを操作する人のイメージ画像
なぜThreadsで「フルネームおじさん」が目立つのか
スレッズでは、ユーザー名は半角英数字で、プロフィール画面では漢字での名前表示が可能です。「フルネームおじさん」は、ユーザー名または表示名の両方をフルネームに設定しているユーザーを指します。一般的にSNSでは本名を明かさないユーザーが多く、Xのようなプラットフォームでは有名人やビジネス目的のアカウントを除けば、匿名で活動する人が大半です。
しかし、スレッズはInstagram(インスタグラム)との連携が可能であることから、サービス開始当初はインスタグラムからの流入ユーザーが多く、若年層や女性ユーザーが目立つ傾向にありました。そのため、「美容」「ダイエット」「筋トレ」「グルメ」「レシピ」「ペット」といった写真映えする投稿が多く、「陽キャ」と呼ばれる層がそのノリを隠さない雰囲気があります。Xに比べて女性ユーザーの投稿が目立ちやすい印象があるため、相対的に中高年男性の存在が目立ちやすくなっている側面があると考えられます。このような背景から、有名人でもビジネス目的でもないにもかかわらずフルネームを名乗る行為に対し、一部のユーザーは違和感を覚えることがあります。
「フルネームおじさん」が嫌われる具体的な理由
「フルネームおじさん」が嫌われる主な理由は、その「クソリプ」の内容とコミュニケーションスタイルにあります。彼らのリプライは、しばしば投稿者の意図を汲み取れておらず、場の雰囲気とはかけ離れたコメントや、相手を不快にさせるような発言が含まれることがあります。
スレッズの比較的牧歌的でカジュアルな雰囲気の中で、若い世代や女性ユーザーが多いコミュニティに、Xのような匿名性の高いSNSとは異なる感覚で、本名を名乗りながら「絡んでくる」行為自体が、他のユーザーからすると異質に映ることがあります。特に、投稿者の感情や文脈を無視したコメントは、単なる批判や嫌がらせと受け取られかねません。このようなコミュニケーションの不一致が、結果として「フルネームおじさん」という言葉を生み出し、そのユーザータイプが避けられる一因となっています。
結論
Threadsにおける「フルネームおじさん」現象は、各SNSプラットフォームのユーザー層や文化、コミュニケーションスタイルの違いが浮き彫りになった事例と言えます。スレッズの、インスタグラム連携による若年層・女性ユーザー中心の活発なコミュニティにおいて、本名を公開しながらも場の空気を読まないリプライを送る一部の中高年男性が、相対的に目立つ存在として認識されました。この現象は、オンライン上でのコミュニケーションにおいて、プラットフォームの特性や多様なユーザーの背景を理解し、尊重することの重要性を示唆しています。全てのユーザーが快適にSNSを利用するためには、他者への配慮と適切なコミュニケーションが不可欠です。




