【北京=三塚聖平】中国中部の湖北省武漢市で、原因不明のウイルス性肺炎の発症が相次いでいる。
武漢市当局によると4日までに44人の発症が確認され、そのうち11人が重症。当局は感染拡大の阻止に躍起となっている。
インターネット上では、2003年に大流行した新型肺炎(SARS)が発生したとの情報が一時出回ったが、公安当局は「事実ではない情報を拡散した」として発信者を処分するなど、ネット管理に神経をとがらせている。
武漢市当局の3日の発表によると、昨年12月から原因不明のウイルス性肺炎の発生が相次いで確認されている。
主な症状は発熱で、一部の患者は呼吸困難に陥っているという。現在、同市内の医療機関で発症者を隔離治療しているほか、濃厚接触者121人について経過観察を行っている。
現時点ではまだ発生原因などは判明していないが、感染者の一部には市内にある海鮮市場の経営者が含まれている。
インフルエンザなどのウイルス性の呼吸器系疾病の可能性はすでに排除され、医療従事者など人から人への感染は報告されていないとされている。
中国メディアによると、原因不明のウイルス性肺炎について、ネット上では「これはSARSに間違いない」といった見方が出回った。そうした情報との関連は明らかではないが、武漢市の公安当局は事実ではない情報の発信者8人を法にのっとって処分したことを4日までに明らかにしている。