台湾、小政党が台風の目に? 立法委員選、二大政党過半数割れも


 【台北=田中靖人】台湾で総統選(11日)と同日に実施される立法委員(国会議員に相当)選で、小政党の獲得議席数に注目が集まっている。二大政党とも過半数割れする可能性があるためで、結果次第で将来、小政党が「キャスチングボート(決定投票)」を握る事態も予想される。選挙戦の再終盤を迎え、政党間の駆け引きも増している。

 立法院(定数113)は小選挙区比例代表並立制で、小政党は選挙区(同73)や先住民区(同6)で当選する可能性が少なく、主に比例区(定数34)での議席を目指す。今回は二大政党の与党・民主進歩党と最大野党・中国国民党の双方が「過半数(57)を何とか確保できる程度」と予想しており、小政党が議席を伸ばせば、どの政党も過半数に届かない可能性がある。

 その急先鋒(せんぽう)が、昨年8月に台湾民衆党を設立した柯文哲(か・ぶんてつ)台北市長だ。二大政党は「(中国との)統一、独立問題にとらわれている」として、どの政党も過半数に満たない状態こそが「台湾を再始動させられる」と訴える。支持者は中間層の若者が多く、民進党は陣営票の流出を警戒する。

 総統選に宋楚瑜(そう・そゆ)主席が立候補している親民党(現有3)は終盤、国民党支持層に狙いを定めた。国民党の総統予備選で敗れた鴻海精密工業の創業者、郭台銘氏は4日、「比例は親民党に」と支持を表明。郭氏は側近を民衆、親民両党の比例名簿に押し込んでいたが、側近が名簿の上位に載っている親民党に支持を絞った。柯、郭両氏とも次期総統選に意欲があるとされ、立法院の議席を足掛かりにしたい考えだ。

 一方、中国とのサービス貿易協定締結に反対する14年春の「ヒマワリ学生運動」から派生した左派系「台湾独立」派の政党・時代力量は存亡の危機にある。前回選で選挙区3議席を含む5議席と躍進したが、蔡英文政権に批判的な執行部は今回、民進党との選挙協力を避け、選挙区選出の2人が離党して無所属で出馬し、残る1人も選挙区での出馬を見送った。結党以来の党幹部だった陳恵敏(ちん・けいびん)氏は「政権獲得後の民進党は対中姿勢が不明確だった。(最近の強硬姿勢は)政治利用で安心できない」と独立支持層に期待する。

 比例区の議席配分は得票率5%以上が条件で、基進党などその他小政党の議席確保は難しい見通し。小政党同士が共倒れする可能性も残る。民進、国民両党は有権者に比例票を分散させないよう呼びかけている。



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