保釈中にレバノンに逃亡した日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告(65)が8日に会見したことを受け、森雅子法相は9日未明と朝の2度にわたり臨時会見を開き、「わが国の法制度や運用について誤った事実をことさら喧伝(けんでん)するもので、到底看過できるものではない」と反論した。日本側の正当な主張を速やかに世界に発信するため、極めて異例の対応となった。
ゴーン被告に対しては「身の潔白を主張するのなら、正々堂々とわが国の司法制度のもとで公正な裁判を受けて主張すべきだ」と指摘。「弁護人とも自由に話し合える保釈中だったのに、旅券を提示せず不法に逃亡したのは子供たちにも説明できない信義にもとる行為だ」と強く非難した。
ゴーン被告が日本の刑事司法制度を批判したことについては「刑事司法制度の一部のみを切り取った批判は適切ではない」と反論。「日本では捜査機関から独立した裁判官による審査を経て令状を得なければ捜査機関が逮捕することはできない」と指摘した。
ゴーン被告は勾留中や保釈中に妻のキャロル・ナハス容疑者(53)=偽証容疑で逮捕状=との面会を原則禁止されていたことも批判したが「証拠隠滅の恐れがなければ妻との面会なども認められる」とした。
森氏のコメントは英語とフランス語に翻訳され、順次ホームページに掲載された。こうした対応について、森氏は「ただちに、世界中の皆さまに(日本側の主張を)理解してもらうためだ」と強調した。