田中貴金属工業は16日、令和元年の金地金の買い取り量が33・742トンと前年の1・9倍に増えたと発表した。世界的な景気減速や米中貿易摩擦を背景に、国内金価格が昨年12月に約40年ぶりの高値をつけたことで、年末にかけて個人投資家が金地金を手放し利益を確保する動きが強まった。
国内金価格は昨年12月27日、1グラム=5343円と約40年ぶりの高値をつけた。米中の対立は緩和に向かったものの、世界経済の先行き不透明感がぬぐい切れず、「安全資産」とされる金が買われた。年間の平均価格は4918円で、前年から375円上昇した。
一方、昨年の金地金販売量は17・7%減の20・090トンだった。買い取りと比べると低調だったが、消費税率引き上げのタイミングを活用した取引が活発化した。増税直前の9月には駆け込み消費が発生し、月間販売量は3トンを超えた。
年明けには、中東情勢の緊迫化をきっかけに投資家のリスク回避姿勢が強まり、金の国際価格が急騰。円建ての国内価格も上昇しており、足元の買い取り需要は引き続き旺盛だという。