冬が訪れると思い出す昭和の情景があります。ストーブの熱でコトコトと煮物料理を作る様子です。子供心にも寒さで縮こまる身体を解放してくれるようなぬくもりを感じていました。焼くでも炒めるでもなく、煮る調理方法こそ冬にふさわしい。
休日の楽しみの1つが料理です。最近、煮ることに夢中になっています。最初は信州名物の鞍掛豆(くらかけまめ)でした。調理法は単純極まりないのに驚くほど美味。食べ始めると止まらなくなります。次にとりこになったのは薄揚げ。昆布とカツオ節の出番です。丁寧にだしを取り、味付けはほんの気持ち程度のしょうゆと塩だけ。大好きなお豆腐屋さんの手作りなのでこれで十分。揚げとだしのうま味が存分に味わえます。
この冬、始めたのがマコの昆布巻きです。マコとはマダラの卵のこと。この時期だけの旬の食材を昆布でぐるぐる巻きにして、調味料で煮ます。ポイントはお酢を加えること。早朝に仕込んだ煮物を晩酌でつまむ。煮ることの喜びを一日、楽しんでいます。