シャープと奈良県天理市は27日、創業間もないスタートアップ企業を誘致し、シャープが持つ市内の研究開発施設の一部をオフィスなどとして貸し出した上で、一定期間の入居費用を補助すると発表した。シャープは入居企業の事業展開を支援しながら事業領域の拡大を狙う。
協定では、同社がAI(人工知能)などの研究開発に取り組む市内の「シャープ総合開発センター」の空き施設(約1000平方メートル)を、最大10社程度の誘致企業にオフィスなどとして貸与。費用は入居開始から半年間はシャープが全額、7カ月目から1年半までは天理市が25%補助するほか、実験室や生産ライン、倉庫なども格安で貸し出す。
入居した企業にはシャープが研究開発やマーケティング、販売ルートの開拓などで事業展開を支援。市は製品のモニタリングなどで市民への協力を呼び掛けるなどの協力を行う。
シャープは自社と相乗効果のある事業に取り組む企業を誘致して連携し、事業領域の拡大につなげる。一方の市は、AIなどを導入し、業務の効率化とサービス向上を図る「スマート自治体」への転換を進めるため、入居企業との連携を目指す。
同日、市役所で協定書に調印した天理市の並河健市長は「社会を変革しようという意欲のある企業に来てほしい」とし、シャープの種谷元隆研究開発事業本部長は「研究開発は自前のものだけでは限定的になる。入居企業との化学反応に期待している」と話した。
家賃補助が受けられる募集期間は3月末まで。問い合わせはシャープ研究開発事業本部(050・5433・4737)。